コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
“ごめん。”“ごめんな。”
俺のだいじな モノ が帰ってきたんだ。
俺の涙が一段落着いた時、俺は二人の方を見た。
二人で顔を見合わせて口パクで“よっかたね。”“よかったですね。”と言い合っていた。
俺の視線に気づいた先輩が俺の方に向かって歩いてきた。
そして先輩は口を動かした。
「宙。好きに生きていいよ。」
何かもわからない重圧に耐え凌いで生きてきた。
そんな重圧を先輩は粉々に打ち消した。一瞬にして。
涙の玉の大きさと数は次々と増えていった。
よかった。本当に良かった。これは私の勘だけど、柴田さんの声帯障害はもう起こらないだろう。
きっと社長も私と同じように思ってる。
「さ、米田くんもそろそろ帰ろうか。」
鼻を赤くして一応泣き止んだ柴田さんの顔にはもう暗い一面はどこにもない。
「はい!帰りましょう!」
柴田さんには幸せになってほしい。
私と一歳しか年が変わらないと言っても、私より年下だ。
柴田さんと同じように悩むことがあったし。
人は悩みすぎるから。人は思ってるより弱いから。
人によるけど人って本当に弱い。
私達は弱い人々を少しでも元気づけて、明るくして、幸せにしたい。
そんな私達の想いが柴田さんには届いただろう。
私達は柴田さんの家まで送った。