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いつものように、早く家に帰りたい気持ちを抑えきれず大急ぎで下校する子供たち。その中で一人、他の子供と離れて歩く女の子がいた。
「少女よ、こっちへ来てみなさい。」
自分を呼ぶ声に振り向くと、あるおばあさんが座っていた。
「ここに座ってみなさい。」
横にある椅子を見ながら言うおばあさんに、少女はすぐ椅子に座った。家でお母さんとお父さんが待っているかもしれないけど、少しくらいはここにいても良い気がした。
「少女よ、レイチェル王妃を知っているか?」
「レイチェル王妃…?」
「そう、君が座っているその横に、王妃様が立っていらっしゃる。」
幽霊ってこと?!驚いた少女の目が大きく開かれた。
「大丈夫だ。王妃様は君に害を与えないよ。君は王妃様の娘さんにそっくりだからね。」
その言葉に安心した少女は、ゆったり座って自然の音を鑑賞していた。そんな少女に、おばあさんはレイチェル王妃の話をしてあげると、口を開いた。
「これは君の横にいらっしゃるレイチェル王妃様のお話だ。誠に悲しく、切ない話であろう。」
………聞いていますか?世を悲しく見つめるしかなかった王妃よ。