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「どうしたら、良いんですか」
絶対にこんな能力なんかに負けてたまるか。
「お前の場合は感情が大きく膨らむことによって発動したりする。なら、感情を制御するんだ」
「感情の制御」
そんなもの出来るのだろうか。
「ただし、私の様に、私達の様にはなるなよ」
この時に言った愛華の発言の意図が全く理解できなかった。
「理解できない、という顔だな。別に良いさ。私の、私達の過去を知る必要性も無いのだから」
そう愛華は至って穏やかな表情で言った。
愛華との話はこれで終わった。道場を出る時に白地に金の刺繍がしてある目元の隠せる仮面を貰った。愛華曰く、「この仮面を付けている時は感情が高ぶらないようにするんだ。それが簡単にできるようになれば、仮面を外しての練習だ」との事。
しっかりと仮面を受け取って扉を開けると蘭華が座り込んでシャボン玉を作っていた。何処から持ってきたのか、なんてのは触れないでおこう。
「蘭華さん、お待たせ致しました」
座り込んでシャボン玉を作り続けている蘭華の肩に手を添えてそう言うと、笑顔で「おかえり」って言ってくれた。
「帰るかー!」
蘭華は伸びをして、道場の前にある紫色の花に埋もれそうな鏡に手を触れた。
「欧華、この花は藤の花だ。花言葉は“歓迎”。欧華、お前も私達ドールの一員だ。何時でも歡迎するぞ」
そう言いながら優しい手つきで藤の花に触れていた。話し終えると、愛華は優しい笑顔でそっと手を降ってくれた。
「又、お会いいたしましょう!」
そう言った、私の声が愛華に届いていると良いな。
その日から私の感情の制御する特訓が始まった。いつも道理に蘭華と話しながらも楽しくなり過ぎないように常に意識を向けた。
そんなある日。
「欧華、心を殺し過ぎないでくれよ。私みたいに、私達みたいにはなるなよ」
蘭華が、突然そんな事を言ってきたのだ。愛華と同じような事を。
「それはどういう、」
「知らなくて良いんだ。ひたすらに重苦しい話だし」
そう言って、蘭華はそっぽを向いて鏡世界に作った蘭華の部屋へ入って行った。鏡の中には蘭華と一緒にじゃないと入れないし、出れない。
またしても話を聞くことができなかった。