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「だけど、カイト……」
「ミクと、離れるのなんか、俺は嫌だ…」
身体を預けるようにして、ギュッときつく抱きついてくるカイトに、
「重たいよ…カイト…」
仕方のないような想いで、少しだけ笑って言うと、
「じゃあ、もう俺から離れないって、約束しろよ…」
目の奥をじっと見つめ返された。
もう自分の気持ちにウソはつけないと、「……うん……」とだけ頷くと、「本当に?」と、確かめるように問いかけられた。
「約束するから……」
一言を答えると、
「よかった……」
カイトはホッとしたように表情を和らげて、
「寂しかったんだ……すごく……ミクルと、話せないってだけで……寂しくて、俺どうにかなりそうだった……」
また目尻に少しだけ涙を滲ませた。
「カイト…でも、私なんかでいいの…?」
微かに潤んで艶っぽくも見える瞳を覗き込む。
「ミクがいい。ミクルじゃなきゃ、嫌だ…」
そう言うと、柔らかな唇を迫らせた。
「ミクルが、俺を救ってくれたから……」
一度は離れた唇が、再び息つく間もなく口づける。
「……バンドの中で、孤立して一人だった俺に、ミクルが手を差し伸べてくれた……」
カイトの手が私の指先に絡んで、強く握りしめる。
「ミクルしか…いないんだ……。
俺は、おまえしか、好きにならない……」
首から鎖骨に、口づけが滑り落ちて、
「カイト……」
思わず、彼を呼ぶ声が口をついて漏れる。
「ミク…抱いて、いいだろ…?」
耳元に低くひそめた声で囁きかける彼に、黙って頷く。
服が脱がされ裸身がひたりと重なり合うと、彼の指先が触れた部分からじわりと、
肌のおもてが蜜のようにとろけて、シーツの上に広がっていくようだった。
「……感じるか? 俺を」
「感じる……あなたを」
「なら、もっと声を上げて、俺に応えろよ…」
「あっ、うん……っ」
好きで、好きで、たまらなく好きで、離したくなくて、離れたくなくて、
幾度もくり返しキスをして、キスをされて、それでもまだ足りなくて、
求められるまま、求めるままに、ただ燃えるように熱くなっていく全身は、
まるで零れ落ちる蜜のように、甘く溶けて、
せり上がる快感の波に、このままふたりして、抱き合った体ごと、とろとろと甘やかに溶け合っていくようだった……。
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