テラーノベル
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心美は、5ヶ月になり、離乳食も始まり、お休みの日には、「パパが食べさせてあげようね〜」
と、食べさせてくれる。
「ここちゃん、良かったね〜パパに食べさせてもらえて〜」
「ふふ」嬉しそうな洋平♡
『褒めればもっとやってくれる!』と確信した美優
子育ては、1人でするものではない!
夫婦2人なら、出来ることを出来る時に、それぞれの立場でやれば良い。
『《《手伝う》》』なんて言われたら、きっと……
──育児は、私1人でするものなの?
私1人だけの子どもなの?
って思ってしまうかもしれない。
2人の子どもだから……
それだけ大変なことだから、周りに協力を得ながら、2人で育てよう。
「今日は、パパのじ〜じとば〜ばの所に行こうね〜」
生まれてすぐ、実家へお祝いを持って、会いに来てくださった洋平のご両親。
ここちゃんとは、久しぶりの再会。
少し距離があるので、写真や動画では、送るものの、
なかなか会いに行けていなかった。
「ただいま〜」
「こんにちは〜ご無沙汰しておりました」
「あら〜いらっしゃ〜い。美優さん、もう体調は大丈夫?」
「あ、はい、すっかり元気になりました」
洋平が何か言いたげに、ニヤッと笑う
『何よ〜』
『ラブラブするぐらい元気よ♡』
目で会話して、笑ってる。
「ここちゃ〜ん、大きくなったわね〜おいで〜!」
少し人見知りが始まり、一瞬、迷ったような
ここちゃん。
お母さんだから、女性だと認識し、『抱っこ』と、
手を出した。
『ホッ』
でも……どうも男の人が苦手な時期
お父さんの顔を見て泣きそうになっている。
『ヤバッ』
視線を遮り
『セーフ』
慣れるには時間がかかる。
弟の航平くんが、ちょうど出かけるところだったようで……
「お、出かけるのか?」
「うん」
「あ、航平くん!久しぶり〜」
「あ、お久しぶりです。ちょっと、出かけて来ます。ごゆっくり……」
「ありがとう。デート?♡」
──美優に、そう聞かれて少々複雑な気持ちになるのは、なぜだろう?屈託のない笑顔。
やっぱり、まだ好意を持ってしまってるのか?俺は……畜生!また綺麗になってるじゃないか!
「うん、ちょっと行って来ます。
お、大きくなったなぁ〜」と、ここちゃんの手に触れた航平くん。泣かなかった、ここちゃん。
「いってらっしゃ〜い」
──幸せな家庭、ずっと見てるのは、なんだかツライ……だから、出かけて来る。デートなんかじゃないけど……
ここちゃんは、機嫌よく《《ば〜ば》》と遊んでいる
時々、《《じ〜じ》》の動きを警戒しながら……
「少し人見知りがありまして……」
「お父さん!ここちゃんが驚くから、ジッとしててね」とお|義母《かあ》さん
なんだか申し訳ない気がしたけど……
「今は、男の人がダメな時期だからな」と洋平。
「そっか、仕方ないな」
「でも、さっき航平が触った時、ここちゃん、泣かなかったなぁ」
「そうだね、やっぱり兄弟だから似てるのかなあ?」
「えー? あんまり似てないよなあ、ここちゃん♡」
「ここちゃん、パパと間違えちゃったのかなあ?」
「ここちゃん、間違えないでね〜パパでしゅよ」
「ふふふ、洋平もパパらしくなって来たわね」と、
お|義母《かあ》さん
「そりゃあ、やっぱり兄弟だから似てるんだろ?
同じような|年頃《としごろ》だし……」とお|義父《とう》さん
「ここちゃん、パパはこっちでしゅよ〜」
顔を掴まれる洋平
「痛てててて〜」
「ハハハハハ」
「近づき過ぎよ」と美優が言うと……
「洋平も家事、育児は一緒にしてくれてる?」とお|義母《かあ》さん
「はい、平日は帰りが遅いので、ここちゃんが起きてる時には帰れないですが、自分の食器は洗ってくれますし、休日は、ここちゃんに離乳食を食べさせてくれたり、オムツを替えたり……」
「へ〜美優さんの《《育て方》》がイイのね」
「ふふ、俺もやる時は、やりますよ〜」
「じゃあ、あとはお料理ね」
「あ〜それは難しい」
「あ、でも私が|悪阻《つわり》の時、雑炊を作ってくれましたし、自分で玉子やウインナーを焼いて食べてくれました」
「へ〜お父さんは何もしないから、洋平も心配してたのよ。少しは進歩ね」
「そうですね」
「航平は、料理は得意なのよ」
「へ〜そうなんですね」
「だから逆に心配してるの。お嫁さん要らないんじゃないか?と……」
「えー? そうなんですか? でもさっきデートじゃ?」
「ううん、もうとっくに別れたと思うわよ」
「あ、そうなんですね。デート? って悪いこと聞いちゃった……」
「大丈夫だよ。どうせ又、遊びに行ったんだろ?昔から適当に遊んでるみたいだから。一応モテるみたいだし……」
洋平の実家へは、お昼から行ったので、早めの晩ご飯をご馳走になり、
帰路へ。
結局、弟の航平君は、私たちが居る間には、帰って来なかった。
美優は、なんだか避けられてるのかなぁ?って思っていた。
帰りの車の中で、
「航平君、帰って来なかったね」
「うん、まあ、誰かと遊んでんじゃない?」
「なんか、悪いことしちゃったな」
「どうして?」
「デート? って聞いちゃったし、せっかくの休みぐらいゆっくりしたかったんじゃないかなあ?」
「大丈夫だよ。気を利かせてくれたんだよ。
父と母がここちゃんと遊ぶと分かってただろうし……
俺たちも久しぶりに行ったから……
母は、泊まって行ったら?って言ってただろう?」
「そんなことしたら、余計、気を使わせてしまうよね。自分の家なのに……」
「そろそろ結婚でもして、出て行くんじゃないか?」
「彼女と別れたのに?」
「また、次が居るかもよ〜」
「あ〜なるほど! だとイイね」
「大丈夫だよ」
「う〜ん、なんだか避けられてるのかと思って……」
「考えすぎだよ」
「だったら、イイんだけどね」
「うん、アイツなら大丈夫だよ。美優、疲れただろ?寝ててもイイよ」
「うん、ありがとう。でも、洋平が眠くなっちゃうから……」
「大丈夫だよ」
「何か話しようよ」
「えー? 何の話するかなぁ?」
「洋平の初恋は?」
「えー? 初恋?」
「初恋は、幼稚園かなぁ?」
「クラスメイト?」
「いや、担任の先生」
「えー! やっぱり、洋平って《《おませさん》》だったんだ」
「そう?」
「うん。だって私はクラスメイトだったよ」
「そっかあ〜可愛い先生だったんだよな。もう顔は、思い出せないけど……」
「ハハ、そんなものだよね」
「うん。美優が幼稚園の頃って、もう俺は、小学4年生とか?」
「うわっ! 4歳違うと随分違うね〜ふふ」
「うん、お爺ちゃんお婆ちゃんになったら、4歳ぐらいって思うけど、小さい頃は全然違うよなぁ〜ハハ」
「いくつになっても、私の方が4歳若いけどね〜」
「あ〜なんか年寄り扱い!」
「ふふ、年長者は、|敬《うやま》わなくては……」
「美優〜ふふ」
「洋平になんかあったら面倒看るから心配しないで!」
「うん、頼むよ。」
「ふふ」
「あ、そうそう美優〜!」
「ん?」
「話変わるけど……この前、久しぶりに大学時代の友達から連絡があってさぁ」
「うん」
「昔、友達数人でクルーザーを買ってさぁ」
「えー!」
「俺しばらく日本に居なかったから、全然乗ってないし、皆んなもそろそろ結婚してたりするみたいだから、手放そうか? って言ってて……」
「そうなんだ」
「その前に、最後に乗りに行かない?」
「うわ〜乗りたい乗りたい!」
「ふふ、良かった」
「え? 洋平、船舶免許持ってるの?」
「うん、皆んなでバイトしてお金貯めて取りに行った」
「すごいなぁ〜尊敬する〜
ん? もしかして、モテたかったから?」
「そうそう!」
「前言撤回‼︎ 動機が不純!」
「若かったなあ〜」
「もしかしてだけど……洋平って、元サーファー?」
「ま、ちょっとかじってたなあ〜」
「やっぱり……」
「何? やっぱりって……」
「軟派と言われることは、全てしてました〜みたいな感じよね? サッカー部だったし……」
「あ、サッカー部を軟派呼ばわり!」
「違うよ。私サッカー部のマネージャーだったし、よく分かってるよ。でも、一般的には、野球部よりサッカー部の方が軟派って思われてたから……」
「そうだよね〜サッカー部の先輩と付き合ってたんだもんね?」
「そうだね〜そういうことは、しっかり覚えてるんだね。な〜に? ヤキモチ?」
「そんな昔のことに、妬かないよ……ふふ」
──ちょっと気になるけど……
「だよね〜まさかね〜ふふ」
──気にしてるくせに……
美優のおかげで、洋平は眠くならなかったし、1人寂しく運転しなくて済んで良かったと思った。
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