亮平Side
めめの部屋から出た瞬間、俺とふっかはフリーズと鉢合わせた。その直後……フリーズがステッキを2回鳴らしたかと思えば、俺たちは真っ黒な広い空間に閉じ込められていた。
💜「は?何これ!」
💚「フリーズの、封印術……」
💜「封印??」
💚「どんな人でもモノでも、その力を封じられてしまう術だよ。俺も、最初それで能力を抑えつけられた」
💜「マジかよ……」
ふっかは封印術の結界をドンドンと叩くけど、結界はもちろんビクともしない。これだと、俺たちの技が使えても出るのは厳しいかもしれない。
突然、そんな結界の中にフリーズが現れた。
💜💚「えっ?!」
「あなた方であれば、すぐに出てきてしまうかもしれないので……邪魔の入らないココで、あなた方を消そうと思いまして」
不敵な笑みを浮かべるフリーズ……背筋がゾクリとするのを感じた。
でも、これは逆にチャンスだった。だって、フリーズはまだ知らないから……ふっかの、本気の力を。
ふっかはいつも、周りに迷惑がかからないように、そして体力の消耗が激しい自分が倒れてしまわないように、能力に制限をかけて戦っている。だけどここは結界の中であり、敵の拠点……制限をかける必要がない。
となれば。本気の力を出すふっかと、俺の力があれば。どんな逆境でも、もう負けることはない。
同じことを考えていたのか……ふと隣を見ると、ふっかの顔に笑みが浮かんでいた。その笑顔は、いつものアイドルスマイルじゃない。思わず足がすくんでしまうような……恐怖を感じる笑顔だ。
そんなふっかは、俺の方を見て頷く。制限を……『リミッター』を解除する合図だ。俺も笑顔で頷き返す。大丈夫、今ならふっかについていける。
そんな俺たちの様子を見て、フリーズは怪訝な表情になった。
「……なんですか?この結界ではいつもの力は出せないはずです。あなた方の負けは、もう決まっているのですよ……!」
💜「それはどうかなぁ?」
フリーズの煽りに、ふっかが煽りで返した。
💜「俺の能力に秘密があるってこと、知ってる?……まあ、知らないか」
手首を回しながらふっかは言う。俺もそれに続く。
💚「ふっかの能力は『モンスターエスパー』。モンスター、ということは」
💜「すなわち、”怪物”?俺、怪物みたいに相手の技喰えんだよね……だから、」
💜💚「一度くらった攻撃は、再現できる」
ふっかの息に合わせてみると、ピッタリと声が揃った。ふっかと俺は顔を見合わせる。
💜「ハハッ、あべちゃん分かってんねぇ」
💚「何年一緒だと思ってんの」
💜「さっすがあべちゃんだわ」
余裕そうな俺たちを見て、フリーズは焦りを感じたのだろう。ステッキを持つ手がプルプルと震えていた。
「お、おのれ……!」
💜「今からリミッター解除するから。どうなっても、しらないよ?」
その言葉が、俺たちの戦いの火蓋を切った。
「うぉぉぉ……!!」
雄叫びをあげながら向かってくるフリーズ。俺はその攻撃を避けながら、技で自分とふっかの背中に羽をつける。『スマートウィング』といって、付け外しが可能な羽だ。
ふっかと俺は一瞬目を合わせ、お互い別の方向へ飛ぶと、フリーズはその場で止まり、俺たちの中間で警戒態勢をとる。四人衆というだけあって、戦いのスキルもそこそこあるのだろう。どちらかだけを追う、という単純な思考には至らなかったみたいだ。
「……先にどちらを殺りましょうか」
鋭い目線で俺らを交互に見るフリーズ。フリーズのステッキからは、おどろおどろしい闇の気が溢れている。
「厄介なのはやはり、あなたの方ですね……!」
俺の方を向いたまま、フリーズはふっかの方向へ飛んだ。ふっかは瞬間移動でフリーズの真上へ回り込むと、羽を使って滞空しながら波動を放った。
💜「はあっ!」
フリーズはその威力で軽く吹き飛んだが、すぐに体勢を整え直した。
「……やりますねぇ」
💜「俺を甘く見んなって」
その後も、俺の鞭とふっかの技で追いうちをかけるも、フリーズにトドメをさすところまではいかなかった。
……そこに、俺は違和感を感じた。
(続く)
コメント
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いつも楽しく読ませていただいてます。 続きが楽しみです!
なんの違和感なんだろう?続き待ってます👍