TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


「今日の躾はこれでお、し、ま、い」



勿体振った言い方が勘に障るが、ようやく開放されたのだ。



俺はこの時程、心底ほっと安堵した瞬間は無い。



さあ早く戒めの開放を――



だが次の瞬間、地獄行きを宣告される事となる。



「今日はこの状態で過ごしてね。明日の朝には楽にしてあげるわ。嬉しいでしょ? それまでいっぱい溜め込んでてね」



女は世にも恐ろしい事を、さらりと言いのけていた。



「ブォブゥオッ! ボォォォォォォッ!!!!」

『ふざけんな! 開放しろぉぉぉぉ!!!!』



余りに理不尽な仕打ちに絶叫する。冗談じゃない。



このままでは本当に壊死しかねないし、何より狂う。



「でもこのままじゃ溜まらないわね?」



人の話を聞け。



「そうだわ! 良い事思いついちゃった」



だから何故、こいつの良い事は不安しかないのだろう。



女は『ちょっと待っててね』と聞きたくもない台詞と共に、此所を駆け足で跡にする。



そして直ぐ様、意気揚々と右手に何かを握り締め、戻って来た。



「これな~んだ?」



女は小悪魔な微笑みで、右手にある物を俺の眼前に突き付けた。



それは薄桃色の玩具。凡人共の御用達。



勿論俺がそれに頼る必要は無い。



「買っといて良かったわぁ。これは電動式の特別製よ」



遠隔リモコン式のそれを、ぶらぶらさせながら意味深な笑み。



まさか……まさかまさかまさか!?



「本物に近いみたいだし、嬉しいでしょ? いつか貴方と私、一つになれる時が来るまで、私も辛いけどこれで我慢してね」



不安は的中する。



どうしてこいつは、こんな信じられない事を平気で考え付くのか。



もしこの状況で、そんな“モノ”を装着されでもした日には、その時は――



「この粘り様……本当に似てるわね」



奴は何処から取り出したのか、糸引く透明な液体を“アレ”に流し込み――



「準備完了! さあいくわよぉ!」



ゆっくりと近付けて来た。



「ブモォォォォ!!」

『やめろぉぉぉ!!』



俺は絶叫する。何時になったらこの口の戒めは解かれるのか?



「うふふ……悦んでる悦んでる」



何処をどう読み取れば、俺が悦んでいるように見えるのか。言葉に成らぬこれが恨めしい。



せめて膨張さえ鎮まってくれれば――



「――ッ!!!!!」



しかしその願いも虚しく、あっさりとそれは装着された。



シリコン製の為、それはジャストフィット。限りなくそれは“本物”に近かった。



これで鎮まれと言うのが無理からぬ事。



「おほほほほ! こんなのに先を越されるなんて、ちょっと妬けちゃうわ……」



お前でも同じ事だ。俺の精神の純潔がこんな形で奪われるなんて、俺を慕う全人類の雌は夢想だにしないだろう。



「でもジョンの為スイッチオン、OK?」



本当にそれだけは止めてくれ。しかもOK? って。選択肢は存在しないだろお前には。



俺が拒否を示す前に、あっさりと女は遠隔スイッチを入れた。



「――ォゴォォォォ!!」



途端に襲い掛かる振動。瞬時に訪れる絶頂。



しかし決してそれが途絶える事は無い。



「じゃあ明日まで頑張ってね~」



女は俺をそのままに、此所を跡にする。



その後ろ姿に思うは殺意ではない。



それ処か俺に残されていたのは、無限悦楽地獄という現実と、思考を覆い尽くす絶望のみだったーー。

二階堂君を堕落させる方法

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

32

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚