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「別れ話」
ひまkun
リクエスト枠
なーんか気に入らない !
なーんか口調違う
なーーーんか;;
ーーーーーーーーー
「なぁ、kunさん。」
キッチンから聞こえる水の音に、少し声がかき消された。 でも、返事はすぐ来た。
「なに?」
淡々とした声。
いつもと同じ、落ち着いたトーン。
それが、今日はやけに遠く感じた。
「……ちょっと、話ええか?」
蛇口が閉まる音。
タオルで手を拭く音。
足音。 一つ一つがやけに大きく響く。
「いいよ」
向かいに座ったkunは、真っ直ぐこっちを見た。 逃げ場なんて、最初からない。
「……別れへんか。」
言った瞬間、心臓が変な音立てた。
でも、口に出した言葉はもう戻らへん。
「……どうして?」
少しだけ間があった。
でも、声は崩れへんかった。
その“崩れなさ”が、きつい。
「なんでって……」
目を逸らす。
視線の先には、二人で選んだマグカップ。
色違いで買ったやつ。
「俺さ、ずっと思ってんねん
」
言葉を探しながら、ゆっくり吐き出す。
「kunさんとおると、楽しいし、安心するし……だから めっちゃ好きやねん」
一瞬、kunの表情が柔らかくなる。
でも、続けた言葉で、それが消えた。
「…それだけやとあかん気してきてな」
沈黙。
重たい空気が落ちる。
「……どういう意味?」
静かな声。
責めてるわけやないのに、逃げたくなる。
「俺、まだ20代でさ。フラフラしてて、
kunさんに頼ってばっかりやろ」
手元で指をいじる。
「でもkunさんは俺と違って なんか、もう“できあがってる人”って感じやん」
「それは、ただ年齢の差で——」
「ちがうんや!」
思わず被せた。
一瞬だけ、空気が張りつめる。
「年齢だけやないねん……俺が、追いつけてへんだけや」
言ってから、少しだけ後悔する。
でも、止まらん。
「一緒におるとさ、嬉しいはずやのに、
どっかでずっと焦ってんねん」
「焦る必要なんてないよ」
すぐ返ってきた。
でも、その優しさが、逆に苦しい。
「あるやろ……!」
声が震える。
「俺、隣に立ちたいんや。
守られてばっかりやなくて、ちゃんと並びたい」
kunは黙ったまま、こっちを見てる。
逃げられへん視線。
「でも今の俺やと、無理やねん」
喉が詰まる。
「だから……一回、離れたい」
ようやく言い切った。
部屋が、やけに静かになる。
時計の音だけが、カチ、カチって響く。
「……それ、もう決めてるの?」
少しだけ低くなった声。
「……はい」
嘘や。
ほんまは、決めきれてへん。
でも、ここで揺れたら終わりやと思った。
「そっか」
短い一言。
それだけで、胸がぎゅっと締め付けられる。
「俺は、ひまじんといるの好きだよ」
ゆっくり、はっきり。
逃げ場のない言い方。
「楽だし、楽しいし。ちゃんと、好き」
「……でも!」
そんな優しいように言うから。だから、余計にしんどい。
「でもさ、それでいいじゃん」
少しだけ、声に熱が混ざる。
「無理に並ばなくてもいい。焦らなくてもいい。 俺は、今のままでいいって思ってる」
その言葉に、一瞬だけ心が揺れる。
――ああ、やっぱり、この人や。
って、思ってまう。
でも。
「……俺が、あかんねん」
小さく言った。
「俺が、納得できへん」
kunの表情が、少しだけ曇る。
初めて見る顔。
「 好きやのに、しんどくなってまう」
視界がぼやける。
「そんなん、嫌やねん」
沈黙。
長い、長い沈黙。
やがて、kunが小さく息を吐いた。
「……分かった」
その一言で、全部決まった。
「引き止めた方がいいのかなって、ちょっと思ったけど」
少しだけ笑う。
「それで苦しくなるなら、意味ないよね」
優しい言い方。
優しすぎる言い方。
「……ごめん」
何に対してか分からんまま、口から出た。
「謝らなくていいよ」
すぐ返ってくる。
「ちゃんと考えて出した答えでしょ」
「……はい」
嘘やのに。
「なら、それでいい」
立ち上がる音。
「コーヒー、冷めちゃったね」
何でもないみたいに言う。
その普通さが、逆に刺さる。
「……なぁ、kunさん」
呼び止める。
背中が止まる。
「ん?」
振り返らへんままの返事。
「……ありがとうございました」
声が、ちゃんと出てたか分からん。
少しだけ間があって。
「こちらこそ」
それだけ返ってきた。
玄関のドアに手をかける。
見慣れた景色。
見慣れた匂い 。
全部、今日で終わる。
「……ほんまに、ええんやな」
最後に、自分に聞くみたいに呟く。
答えは出てるはずやのに。
ドアを開ける。
外の空気が、やけに冷たい。
一歩、踏み出す。
その瞬間。
「ひまじん」
呼ばれた。
反射で振り返る。
kunが立ってた。
少しだけ困った顔で。
「頑張りすぎないでね」
静かな声。
「無理して変わらなくてもいいから」
――あかんやろ、それ。
「……遅いねん」
笑ったつもりやった。
でも、視界はぐちゃぐちゃやった。
「そういうの、今言うんはずるいわ」
kunは何も言わへん。
ただ、少しだけ目を細めた。
その顔、好きやったな。
最後にそう思ってもうた。
「……じゃあ」
軽く手を振る。
ちゃんと見えたか分からん。
ドアを閉める。 ガチャって音がして。
それで全部、終わった。
外に出て、数歩歩いて。
立ち止まる。
ポケットの中で、スマホがやけに重い。
連絡、できる距離。
戻れる距離。
でも。
「……戻れへん」
小さく呟いて、空を見上げる。
やけに、青かった。
コメント
1件
ありがとうございます!!
あずき_29
えいと@1ヶ月間妹書いてます
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