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#🐢投稿
(ゝω・) ねこウサギ
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「なぁ、ペテン師」
チャンスは上機嫌だった。
黒スーツを翻しながら、片手でコインを弾く。
「今日は特別に、俺の“とっておき”へ連れてってやる」
その笑みを見た瞬間、iTrappedは察した。
――ついに来たか。
闇市場。
違法ツール。
運営の監視を欺くリミテッドアイテム。
Banlandsへ干渉できる禁制品。
チャンスの人脈と財力を使えば、EllernateやCaleb244を救うための鍵に辿り着けるかもしれない。
iTrappedは青いシャツの襟を整え、静かに目を細めた。
(待っていてくれ)
(今日こそ前進する)
その決意を胸に辿り着いた先は――
めちゃくちゃ胡散臭い闇市場だった。
怪しい武器商人。
密輸品を並べるブローカー。
素性不明の情報屋。
空気は騒がしく、危険で、金と犯罪の匂いがする。
iTrappedは周囲を鋭く観察する。
どこから攻略すべきか。
誰が鍵を握っているか。
そんな彼をよそに、チャンスは一直線に走り出した。
向かった先。
そこにあった看板は――
【高級フェドラ帽専門店(闇仕様)】
「見ろよiTrapped!!」
チャンスのテンションが急上昇する。
「このフォルム!! この黒の艶!! 完璧だろこれ!!」
両手に帽子。
試着。
ターン。
コイントス。
決めポーズ。
「これで俺のコレクション何個目だ……? 180? いや200突破か!?」
「……は?」
iTrappedの口から、素で声が漏れた。
チャンスは止まらない。
「あっ、これもいいな。おい店主、この棚ごと全部くれ!」
「あとスペード用の高級キャリーバッグも頼む。絶対気に入る」
「……」
iTrappedの額に青筋が浮く。
氷の王冠から冷気が漏れ始めた。
ピキ、ピキピキ……
周囲の闇商人たちが震え始める。
「寒っ!?」
「なんだあの王冠!?」
「冷房壊れてんのか!?」
iTrappedは無表情のまま、内心ブチ切れていた。
(僕は何を期待していた?)
(命懸けで脱獄して)
(仲間を救うための極秘取引を期待して)
(その結果が――)
視線の先。
帽子を十数個重ね被りしてるチャンス。
(重度の帽子オタクのショッピング!?)
その時だった。
チャンスがレジ前で「あっ」と声を上げる。
「やべ」
嫌な予感。
「カード止まってるわ」
iTrappedの目が死ぬ。
チャンスはケロッとしていた。
「親父のやつ、また無駄遣い監視システム発動しやがったな」
サングラスを上げながら笑う。
「実家戻れってことか? ハッ、冗談じゃねぇ」
そして。
最悪の一言を放つ。
「というわけでペテン師」
満面の笑み。
「ここにある帽子全部、あんたのツケで頼む」
「ふざけるな」
即答だった。
iTrappedの脳内計算機が高速回転する。
予算外。
無駄遣い。
必要性ゼロ。
利益なし。
完全なるゴミ出費。
黄緑のパンツを翻し、iTrappedはチャンスのネクタイを掴んだ。
「君の頭の中はハッピーセットか?」
至近距離。
氷の冷気で、チャンスのサングラスがみるみる曇っていく。
「僕は君のパパでもママでもない」
さらに締め上げる。
「あと、その大量の黒い帽子を保管するスペースは僕の隠れ家に存在しない!!」
「ハハハッ!」
なのにチャンスは爆笑していた。
「サングラス真っ白で何も見えねぇ!」
めちゃくちゃ楽しそうだ。
「でも最高に冷えてるぜiTrapped!」
そのまま彼は、近くの帽子をひょいと掴む。
「ほら、これ絶対似合うから被ってみろよ」
そして。
氷の王冠の上から無理やりフェドラ帽を押し込んだ。
「待っ――」
バリィッ。
嫌な音が響く。
王冠のトゲで高級帽子が裂けた。
沈黙。
「あ」
チャンスが固まる。
iTrappedも固まる。
数秒後。
「……僕の」
低い声。
「仲間を救うための完璧な計画が……」
王冠が少し溶け始めた。
精神ダメージだった。
その瞬間、遠くで怒号が響く。
「いたぞ!!」
「見つけたぞチャンス!!」
マフィオソの手下たち。
チャンスは一瞬で笑顔に戻る。
「逃げるぞペテン師!!」
「帽子置いていけ!!」
「嫌だ!!」
結局。
二人は大量のフェドラ帽を抱えたまま、闇市場を全力疾走する羽目になった。
数十分後。
隠れ家。
床一面、黒い帽子だらけ。
その中央で、スペードが一つの帽子をガジガジ噛んでいる。
iTrappedは無言だった。
完全に無言。
チャンスはソファで笑い転げている。
そしてiTrappedは静かに決意した。
(いつか絶対に)
(こいつをBanlandsの肥やしにしてやる)
――と。
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