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第四章:昨日の誓いはどこへやら
翌朝の教室。
昨日の路地裏での熱を思い出し、顔を赤くしながら登校した朱莉だったが、教室に入るなり、晴人と他の男子数人に呼び止められた。
「あ、朱莉! 昨日いきなり黒瀬に連れて行かれたけど大丈夫だった? あいつマジで怖いわ(笑)」
「あはは、ごめんね。ちょっと用事あったみたいで……」
朱莉に悪気はない。ただ、昨日のカフェの続きを謝ろうとしただけだ。
数人で輪になって、文化祭の出し物の話で盛り上がり、「朱莉、それええやん!」と晴人が軽く彼女の肩を叩いて笑った、その瞬間。
ガラッ!! と、教室のドアが壊れそうな勢いで開いた。
「…………おい。」
低い地響きのような声。クラス中の視線が入り口に集まる。
そこには、目の下に少しクマを作り、機嫌の悪さを隠そうともしない黒瀬が立っていた。
「……朱莉。お前、俺が昨日なんて言うたか、三歩歩いたら忘れる鳥頭なんか?」
「えっ、黒瀬!? おはよ……」
「おはようちゃうわボケ! 何、朝っぱらから他の男とツラ寄せてニヤついとんねん」
黒瀬は真っ直ぐ朱莉の元へ歩み寄ると、晴人と彼女の間に割り込むようにして立った。
昨日の路地裏の熱を孕んだ瞳で、今度はクラスメイト全員を威圧するように見渡す。
「……おい、お前ら。こいつに気安く触んな。……特に晴人、お前。次その手で朱莉に触れたら、マジで指詰めさすからな」
「えっ、ちょ、黒瀬……! みんなびっくりしてるよ!」
焦る朱莉を無視して、黒瀬は彼女の腰をグイッと引き寄せ、耳元で低く、けれどクラス中に聞こえるような声で言い放った。
「……言うたやろ。一分一秒、俺以外のこと考えんなって。……お前がそのつもりなら、ここで昨日以上のことしたろか?」
彼は朱莉の首筋に鼻先を寄せ、深く吸い込む。
クロミのような執着心と、余裕のなさが混ざったその表情に、クラス中が「あ、これマジなやつだ……」と察して静まり返った。
「……放課後、一歩も動くなよ。校門まで迎えに来たるから。……分かったな?」
彼は朱莉の耳たぶを甘噛みするように一瞬だけ食むと、真っ赤になった彼女を残して、自分の席へと向かっていった。
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