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四月十七日。午前九時。ナオトは例の花畑に咲いているたくさんのタンポポを見ている『みんなの姿』をたまに見ながら薬の材料がないか、せっせと探していた。(しゃがんだ状態で)
「うーん、そう簡単には見つからないか……」
説明しよう! 彼らの旅の目的はモンスターチルドレンを元の人間に戻すことができる薬の材料を集めることである。
ちなみに今集まっている材料はバイオレットウガラシ、インディゴマ、グリーンドウ、エメラルドングリの四つである。
「ナオ兄、遊ばないの?」
その時、シオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)が彼の背後から声をかけてきた。
「ん? あー、シオリか。俺はちょっと薬の材料を探してるから遊んでやれないぞ」
「ふーん、そうなんだ。でも、いいの? この辺には人身売買を目的としている人たちが、たまに来るらしいけど」
それを聞いたナオトはスッと立ち上がった。
「よし、遊ぶぞ。シオリ」
彼は黒いパーカーについているポケットに手を突っ込むと、トテトテと歩き始めた。
「うん、そうだね。ナオ兄!」
シオリはとても嬉しそうにナオトの後に続いた。しかし。
「悪いな。ここから先は……通行止めだ」
その直後、黒いローブを身に纏《まと》った者たちが突如として出現したため、ナオトとシオリは前に進まなくなってしまった。(『S○O』のキ○トのセリフを思い出した。あと、ここから先は一方通行だ! も思い出した)
人数は十人程度か……。
武器はナイフ、短剣、長剣、大剣、サーベル、クナイ、刀、レイピア、ダガー、包丁……か。
「その獣人をこちらに引き渡せば、お前だけは見逃してやらんこともないぞ? 少年」
こいつらは俺のことを知らないのか? 『ケンカ戦国チャンピオンシップ』は全世界に放送されてたはずなんだが。
まあ、今の俺にとっては好都合だが。
「さあ、どうする? 今すぐその獣人をこちらに引き渡すか、お前も一緒に俺たちの商品になるか、好きな方を選べ」
あっ、そっか。今の俺は『第二形態』の副作用でショタ化してるから、こいつらにとっては俺も商品なんだよな。
でも、さすがにこいつらの言いなりにはなりたくねえな。
他のみんなはこことは違うところにいるみたいだし、周囲に観光客もいないみたいだな。よし、戦おう。
「さあ、そろそろ答えを聞かせてもらおうか。まあ、どちらにせよ、獣人の方は死ぬよりも恐ろしいことを精神と肉体に与えてから、モンスターの餌か貴族の奴隷にしてやるがな。はーはっはっはっはっはっは!」
「……んじゃあ、俺は第三の選択肢を選ばせてもらおうかな」
「……何? 第三の選択肢だと?」
「ああ、そうだ。俺がお前らをぶっ飛ばすっていうな!」
ナオトは鎖の力を解放しようとしたが、シオリが。
「ナオ兄、ここは私に任せて」
そんなことを言ってきた。ナオトは反対しようとしたが、じーっと見つめてくるその瞳《ひとみ》に覚悟を感じたため。(ジト目なんだけどな……)
「はぁ……分かったよ。好きにしろ」
シオリに任せることにした。
「ありがとう、ナオ兄。あとで、頭撫でてあげるね」
「それは自分がしたいだけなんじゃないか?」
「ううん、違うよ。ナオ兄の体が心配だからだよ」
「……そっか。けど、死ぬなよ?」
「りょう……かい!」
その直後、シオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)は黒いローブを身に纏《まと》った者たちに襲いかかった。
「な、なんだ! こいつは!」
「う、動きが見えないぞ!」
「慌てるな! 所詮は子どもだ!」
「うわー!」
「ち、ちくしょー!」
「に、逃げろー!」
「あっ、こら待て! 逃げるな!」
「来るならきやがれ! 俺が相手だ!」
「こ、ここ、腰が抜けた……」
「こんなはずじゃ……なかった。なのに、なんで、こんなことに……」
____数分後。全員を気絶させたシオリは彼らを一箇所に集めると、一人ずつ固有魔法『重力制御《グラビティコントロール》』でどこかに飛ばしてしまった。
「ナオ兄、終わったよー。ほら、おいでー」
両手を広げながら、そう言うシオリの腕の中に俺は飛び込んだ。
「シオリはすごいな。一人でやっちまうなんて」
「ううん、私はすごくないよ。ナオ兄が近くにいてくれたから戦えたんだよ?」
「そうなのか?」
「うん、そうだよ」
「……そっか」
「……うん♪」
触覚が麻痺している俺にとっては、こんなことをされても何も感じないはずなのだが、シオリの体から溢れ出る何かが俺を包み込んでいく感じがして、心地よかった。
※『|黒影を操る狼の形態《ダークウルフ・モード》』になった副作用で彼の触覚は麻痺している。
*
みんなと合流した俺とシオリが何があったのかを話すと全員の背後から怒りのオーラが出始めたため、俺は全員を説得した。
もし俺がそうしていなかったら、さっきの十人の人生は終わっていただろう……。
その後、俺は薬の材料探しを再開した。今度はみんなも探してくれたが見つかる気配はなかった。
「なあ、ミノリ。この花畑の中から薬の材料を探すのは至難の業《わざ》だ。なんかこう、効率よく見つけられる方法はないのか?」
俺がそう訊《き》くと、ミノリ(吸血鬼)は怒り気味でこう言った。(俺たちはしゃがんだ状態で探しています)
「はぁ……そんな方法があったら、とっくに試してるわよ」
「ま、まあ、そうだな」
「でしょ? だから今は、口じゃなくて、手を動かしなさい。いいわね?」
「わ、分かった」
今日のミノリ(吸血鬼)は少し怖いな……。
よし、じゃあ、そろそろ薬の材料探しを再開しますか。
その時、俺は『体が金色のアリ』がこちらを見ていることに気づいた。
「なあ、ミノリ。この世界に『金色のアリ』っているのか?」
「『金色のアリ』? そんなのいるわけないじゃない。というか、そんなのがいたら、あたしも見てみたいわよ」
「えーっと、そいつがずっと俺を見てるんだけど、どうすればいい?」
「そんなに気になるなら、潰せばいいじゃない」
「生き物の命は大切にしましょう!」
「あー、はいはい分かったから、早く手を動かしなさい」
「うーん、まあ、俺もそうしたいんだけどさ。その何というか……そのアリが俺の頭の上に乗ってきたんだけど、どうすればいい?」
「もう! なんでさっきから口ばっかり動かしてるのよ! 気が散るじゃない! ……って、本当にいたああああああああああああああああ!!」
『金色のアリ』はミノリ(吸血鬼)のその声を聞いた直後、声を発した。
「よお! よお! 俺よりレアな吸血鬼さんよお! 俺の名前を知りたいか?」
「……ア、アリが喋った!?」
「ああ、喋ったな」
「おいおい、何か反応してくれ! 俺の心は広いけど、その分、めちゃめちゃデリケート! 俺と話をしないと言うなら、今すぐ頭に噛み付くぞ! よお!」
俺とミノリはこのノリに合わせるしかないと思い、そのノリで話すことにした。
「それじゃあ、教えてもらいましょうか! あんたの名前はなんていうの?」
「ノリがいいね! すげえよ、姉ちゃん! 望み通りに教えてやるよ! よーく聞いとけ、二度は言わねえ、めちゃめちゃイケてる俺の名は……『ゴールデンサファイアント』」
「なるほど、なるほど。十一月の誕生石だな?」
「よお! よお! 察しが良いね! ノリもいいね! ところでお前ら何しにここへ?」
「あたしたちは、ここにあるっていう薬の材料を探しに来たの」
「なるほど、なるほど。それなら、俺が教えてやるよお! お前ら俺について来い!」
「それは助かる。恩に着るぜ! 早速案内頼めるか?」
「もちろん、もちろん、もちのろんろん。お前らのこと気に入ったから、今から案内してやるぜ!」
『サンキュー!』
こうして、俺とミノリ(吸血鬼)は『ゴールデンサファイアント』と仲良くなった。
その後、他のみんなのところにも行って、それぞれ自己紹介をした。(ラップ調で……)
まずは一歩、前進……かな?