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夢追う者のお一人さま。
こちらはハッピーエンドルートになります。
貴方様が選んだ結果故の結末となりますので、再度ハッピーエンドかメリーバッドエンドかの二択、どちらが良いかを考えた上でお進み下さい。
又、”どちらも読みますが?!”とハッピーセットをご所望の方も大歓迎です。
それではどうぞ、ごゆるりとお楽しみ下さい。
【閲覧注意⚠︎】この小説はnmmnです。nmmnが苦手な方やタグの意味が分からない方は一度ご確認の上、再度閲覧をするかのご検討をお願いします。又、
この小説は作者の妄想・フィクションです。
ご本人様(キャラクター等)には一切の関係・関連はありません。ご迷惑がかからぬよう皆で自衛をしていきましょう!
閲覧は自己責任です。
※その他BL要素有り( 🟦×🏺)
今一度ご確認の上、ご理解ご了承頂ける方のみ本文へお進みください🙌
ご確認ありがとうございます!!!
それではどうぞ〜🫶✨
🏺『』その他「」無線「”○○○”」
青井の手を不満げに掴んだつぼ浦は、何も考えずとも口からパッと素直な言葉が溢れ出ていた。
『…いーや、アンタは帰って来ないね。俺には分かるぜ!、嘘つくんじゃねぇ!』
“嘘つきは泥棒のなんとやらだろ!”と声を大にして呟き、つぼ浦は青井の手をぎゅっと強く握りしめる。
「いてててて、強い。強いってつぼ浦、」
『さっさと帰るぞアオセン、こんなところにずっと居られるか!』
「聞いてないし…」
グッと力任せに引き寄せられた青井はよろりと立ち上がりながら、仕方がないなぁとため息を漏らす。
なんだかんだいってこうなる未来は予想していた。
実は優しくて、空気が読めて、正義感の強いつぼ浦匠という男が、身内の一人をこんな場所に置いていくはずも無い。
例え此処に残る選択が青井の意思だとしても、つぼ浦が許すはずもないだろう。
大股で真っ白な床を踏みしめて、ガチャリと躊躇なく銀色のドアノブを回す。
扉を開けば一面がぐにゃりと歪んでいて、それでもつぼ浦は青井の言葉を信じてその扉の奥へと足を踏み入れた。
『っ、…、、ん、……?、ぁ?、』
扉をくぐり抜けた瞬間、つぼ浦の視界は一瞬にして真っ暗な天井を映し出す。
『ここ、…は、…あぁ。現実だ』
のそりと上半身を起き上がらせて、パッとスマホを開いてみれば夜中の十二時過ぎ。
しっかりと電波も繋がっているし、なんなら電話だって普通にかけられる。
『………、出ねぇな』
一目散に電話を掛けた相手は、先程まで一緒に居たはずの青井らだおだ。
絶対に手を離すことなく、確実に現実世界へと引き戻したはずだった。
『……、っ、なんで出ねぇんだよ、』
しかし、何度連絡を試みても青井らだおの着信は不在だと機械音声に伝えられる。
いてもたっても居られなくなり、つぼ浦はサンダルを適当に履いてから署内を足早に移動し始めた。
と言っても、向かった場所は異空間の中でもリアルに再現されていたあの場所である。
トタトタとサンダルの足音を響かせて、つぼ浦はザッとスライディングをかますかの如くキッチンを目視。
『あッ。やっぱり居たかアオセン!』
「しー…、一応夜中だからね?」
スパーンッと響くその声に苦い笑みを浮かべて、青井はクルクルとコーヒー入りのカップをティースプーンでかき混ぜる。
「ちょっと手が塞いでてさ。電話出れなかったんだよね、ごめん」
二つの真っ白なマグカップを持って、青井はキッチンカウンターにコトりとそれを置く。
ぷかぷかと白い湯気が立ち上る姿を眺めれば、青井はつぼ浦を軽く手招いて隣に来るよう呼びかけた。
『ん。なんだよ、』
「ふへ(笑)、そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。全部現実でしょ?、さほど美味しくもないコーヒーと、お前を落ち着かせる為のホットミルクね」
“どーぞ”という優しい声色に少し戸惑いつつ、つぼ浦は青井の隣でホットミルクをこくりと喉に通す。
「美味しい?」
『…、まぁ、うめぇな』
「まぁて(笑)、ふふ、うん。じゃあ良かった」
珍しく鬼の被り物を外したその横顔はいつにも増して緩みきった笑みを浮かべており、苦いコーヒーを飲んでも尚その柔らかな雰囲気は変わらない。
『……、なぁ、アンタ怒ってねぇのか?』
「ん?、なにが」
『いやだって、結局俺が無理やりこっちに引き戻したようなもんだろ』
「ん〜…、そうだね。お前が引っ張ってくれなかったら、俺はずっとあそこに居たかもね」
そんな言葉を聞いて、つぼ浦は背筋にぞわりと冷たさを感じる。
「…でもさ、今はこうして俺はお前の隣に居るし。これからだって此処にいるよ?」
『…そんなの、じゃあ、約束出来んのかよ』
「やくそくぅ?、」
つぼ浦はまたいつでもあの異空間の狭間に戻れる事に気がついていた。
青井が何度も行っているという事は、本気を出せばあちら側に居座り続ける事など容易に違いない。
『約束しろよ。またあっちに戻っても、飯食って休んで帰ってくるだけだって』
「ほ〜?、頭がいいねぇお前は。そんなに俺のことが大事なの?」
『だいじ、…、大事だろ。重荷だかなんだか知らねぇけど、俺はアンタと仕事がしてぇ。…つかアンタは対応科だろ。ぜってぇ投げ出すんじゃねぇぞ、俺のおもり』
「っは(笑)、おもり?、お世話されてるの自覚済みかァお前(笑)、もぅ〜、困っちゃうなぁ(笑)」
いくら茶化してもつぼ浦は真剣な眼差しで青井を見るばかり。
青井はそんなつぼ浦の表情にまた少し柔らかい笑みを漏らして、こくりと一つ頷いた。
「はぁ〜…、、…うん。わかったよ。約束する」
『ホントか?』
「うん。本当に」
“指切りげんまんでもする?”と青井が呟けば、つぼ浦は何の躊躇もなくスっと片手を差し出して青井の小指と指を絡める。
「…素直だねぇお前は」
『やれること全部やっといた方がいいだろ』
青井を絶対に逃がすつもりがないつぼ浦は、ブンブンと腕を何度か振ってからその手を下ろす。
『指切った。よし、これでアンタが逃げ出す確率は格段に減ったな』
「…ねぇ、嘘ついたら貯金の半分よーこーせッ…とか言ってなかった??」
『あぁ言ったぜ。寄越しな』
「ぜったいやらん」
その言葉を聞いて満足気にホットミルクを胃に落とし込むつぼ浦。
『ぷはぁ…。じゃあ死ぬまで俺の面倒をみるんだな?、あぁ助かる助かる。明日もロケランぶっぱなそ〜(笑)』
クルクルと楽しげに右肩を回して、つぼ浦はそこでやっとケラりと笑みを浮かべた。
「ふふ(笑)、……ねぇつぼ浦、お前俺のことめちゃめちゃ好きでしょ?」
『すき?、す…、、はぁ?。何言ってんだかなァ、好きとかそんなん…、゙あ?、ぶっ殺すぞ』
だんだんと肩の回しが落ち着いて行き、つぼ浦はカチリと体を硬直させて思考をフル回転。
「俺もお前のこと好きだけどね」
『………、は?』
「だからあの時、連れ戻してくれてちょっと嬉しかったよ。まぁそのおかげで、死ぬまでお前の面倒を見なくちゃいけなくなったけど(笑)」
空っぽになった二つ分のマグカップを眺めながら、青井はクスリと小さく笑う。
「約束したもんね?」
『………、した』
「…、実は俺のこと嫌い?」
『は?、んな訳ねぇだろ。死にてぇかテメェ』
急に語彙力が戻ってきたつぼ浦にぷはっ(笑)と吹き出して、青井はやれやれといった様子でつぼ浦をちらりと見つめる。
見つめた先のその表情はドギマギとしていて、緊張しているのか首筋まで真っ赤に染まっていた。
「…ねぇつぼ浦、眠れそう?」
『、…無理だろ。ッ、触んな、』
「嫌だね(笑)。こんなにかわいいつぼ浦なかなか見れないもん」
スルりと頬を撫でればピクリと目元が瞬いて、つぼ浦は青井のその手をぎゅっと捕まえる。
『ホントに勘弁してくれ、ッ…なんか、心臓が痛ェ』
「お〜。脈アリかぁ?」
『馬鹿にすんなッ。テメェほんとに、ッ、゙あぁクソ、やっぱ早々にぶっ殺しとくか?』
「ごめんごめん(笑)。…つぼ浦、ありがとうね」
掴まれたその手のきゅっと握り返せば、つぼ浦は少し戸惑った様子で口元を開いては閉じ、そして言葉を返す。
『、…、感謝すんなら、行動で返せよな』
「言うねぇつぼ浦(笑)。まぁ任せときなよ」
青井がするりと手を離し、つぼ浦は安堵した様子でホッと息を吐く。
「それじゃあ手始めに、眠れないつぼ浦の為にもう一杯何か作ろうかな」
『…あぁ。そうしてくれ』
甘やかすかのような聞き慣れないその言葉につぼ浦はくすぐったそうに耳をひっかいて、カタコトと子気味よく作業を始めるその後ろ姿を眺める。
『…アオセン、俺もアンタに感謝しとくぜ』
「んー?、なにを?」
『さぁな。色々とだろ』
カチャリとかき混ぜられたそのマグカップの湯気は、夢ではないというのにやけに肺にとぐろを巻くような甘ったるい香りを漂わせている。
しかし、現実味を帯びたそのインスタント独特の味付けは、今を生きていると確かに実感できる…ほどよい美味しさだった。
これからもずっと、その滲み出る幸せの味は変わらないだろう。
夢追う千人の者:ハッピーエンド[完]