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「ああ……ああ、ああ、ああ……課長……!」
後ろから激しく乳房を揉みしだかれる、わたしはこれに弱い。しかも――湯船のなかにあっては。
「へへ……莉子のおっぱい、どんどんびんびんになってる……。こっちはどうかな?」
「――や。あああ……っ」
「どろっどろのぬっちゃぬちゃじゃん……」べろべろとわたしのうなじを舐める課長は、「すんごい莉子ちゃん……。ねえ、どっち舐めて欲しい? 莉子ちゃん、舐めて貰うの大好きでしょう……?」
「ひぁ……っ、課長、指、指……!」
「莉子ちゃんがあんまりにもとろっとろなもんでさぁ……。我慢出来なかったんだよ……」言って指を押し込む課長。――ああ、もう。
全部いっぺんにやって貰えたらいいのに。
おっぱい舐め舐め。あそこを舐め舐め。乳房を揉み揉み。そして――ペニスでぐちゅぐちゅ。
課長に触られると一定の満足感を得られるものの、早く――串刺しにして欲しいという焦燥と、とめどなく体内を流れる快楽の渦――に巻き込まれる羽目となる。
「ふふ……ぎゅうぎゅう締め付けちゃって。莉子ちゃん。気持ちいい?」ぐ、ぐ、と指を押し込む課長は笑いをはらんだ声で、「いっぺん、指で激しくいっちゃって、すっきりしようか……莉子ちゃん」
課長の言うことに外れはない。基本的に。彼は……わたしの知らないわたしのことまでを熟知しているのだ。
課長と出会うまで知らなかった性の味が、わたしのほうを手放そうとはしない。決して。
指でわたしを導いた課長は、それだけでは足らず――ざぶりと、わたしのウエストを支えると、わたしを浴槽の淵に座らせ、壁に寄りかからせ、股を開くと――
「ひぁ……っ、ああっああ……っ」わたしは課長の肩に手を添えて叫んだ。「駄目……舐めないで……そこ、そこ……っ。声、出ちゃう……。おっきな声、出ちゃう……」
唇を噛み締めるわたしの髪を撫でると課長は、短くわたしに口づけ、
「莉子ちゃんのえっちな声、いっぱい聞かせて……」
生理の日と、時々月曜日だけわたしはマンションでひとり。復縁して以来、普段は課長のマンションで過ごすようにしているのだが、明けて火曜日ともなると課長の性欲はものすごい。いやいつもすごいのだけれど。――課長は、出社する前に、掛布団をベランダに干すと、お気に入りのあのベッドのうえにタオルケットを敷く。それが……なにを意味するのかは瞭然だ。
どうやらわたしは水気の多い女らしく。すごく……濡れる。特に、課長の舌で舐められると尋常じゃない量を出す。……勿論、課長のお陰で潮吹きと呼ばれる現象も経験済みで。そう、課長に愛された初日に起きた現象だ。
というわけで、わたしたちの生活にはタオルが必須。洗濯物の処理をするときに、あの行為を思い返し、子宮が疼く。淫乱なわたし。
感覚が、馬鹿になったみたいで。狂いそうなほどに課長を愛している。これが――愛なのか。生きる意味なのだろうか。わたしに、生きる意味を教えてくれた課長には感謝をしている。――女は、愛されることで花開く性別なのだ。
たっぷり風呂場にてわたしの蜜をすすりあげた課長は、濡れた唇でわたしにキスをして、ぐったりと動けないでいるわたしを手早くタオルで拭くと――また、別の舞台へと連れていく。
「風呂場でバックってのも燃えるんだけど。いまは……莉子を味わいたいな……」
言って課長はわたしをベッドに寝かせると足を開かせ、ためらいもなく顔を突っ込む。……男の人ってこんなにこれが好きなの? それとも課長が異常……いや、異常なのはわたしだ。
顔を見ただけで、濡れる。キスをしただけで到達。胸なんか触られたときには目の前に火花が散る。手を握るだけで、足元が崩れそうになる。荒石くんの手を握ったときなんか、なんにも感じなかったのに……。
わたし、性欲のお化けなのかもしれない。課長という、魔性の存在によって作り替えられた悪魔。普段は……会社にいるときは、課長と同じで、わたしもそれ用の仮面をつけるようにしているけれど。こうして偽りの仮面を脱ぎ捨てたこのマンションの一室にて、わたしは本能を剥き出しにする。
「ああ。課長……。――いく。また、いっちゃう……!」
身をよじらせるとわたしは高みへと導かれた。課長がそれで終わるはずがなく。ベッドサイドに常備してあるそれを取り出す、その音だけでわたしはどうしようもなく濡れる。
「……おれはひどい男だから」と、課長はわたしの濡れた頬に触れ、「いっている最中の莉子ちゃんを、どこまでも……追い込んであげる。
もう無理、って言っても――離しやしないから」
そして、わたしは課長の作り上げる、愛情という牢獄のなかで、獰猛な愛欲と化す。――こんな自分、知らない。誰だろう、とわたしは思う。こんなに――感じて。淫らに、溺れて。泣いて……。
激しい腰使いのなか、しっかりとわたしは課長の背に足を絡めた。振り落とされないように――置いてきぼりにされないように。この想いから……。
課長がわたしのなかに射精すると、何故だか、いつものようにぼろぼろと涙がこぼれた。――自分が、あるべき場所に戻ってきたような、そんな感覚。――教えてくれたのは他の誰でもない。あなただけなんだよ……課長。
「課長……好き。愛して、る……」
泣きながら想いを伝えるわたしの涙を吸い取る課長の唇が愛おしい。ふるえながら、わたしはその唇に手を伸ばし、
「気持ち、い……」
涙にむせびながら、暴力的なまでの愛を表現する器と化した。
* * *
翌朝。
「あっちゃー」
とトイレにて一声を出す。……赤い染みがついている。残念。いえ、ちゃんと来るべきものが来るのはいいことなのだけれど……。
課長とえっちが、出来ない。
こういうとき、わたしはむらむらしちゃうのも辛いので、自分のマンションにお泊りするようにしている。……のだが、課長がどうするかについては、後述する。
トイレを出ると、わたしは、キッチンでスクランブルエッグを作っている課長に声をかけた。
「あの。課長。……残念なお知らせが」
「なんだろう。PUFFYが解散とか?」
「いえもっとありきたりで非常に……残念なお知らせがありまして」
「ふむ。話を聞こう」手早くフライパンからスクランブルエッグを大皿に移す課長はわたしに目を向け、「あ。危ないからそっち座ってて。洗ったらそっち行くから」
「……はい。分かりました」
* * *
「どうして女のひとって月に一回必ずきっかり来るんですかね。……正直、恨めしいです……」
「いや。ちゃんと来るのはいいことなんだよ? 莉子が健康であることの証だし……。それで。じゃあ、今夜きみは自分のマンションに戻るんだよね?」
「言っておきますけど。課長……来ちゃ、駄目ですよ?」とわたしは念を押す。「知ってますか? わたし、……会社以外で課長の姿見かけると欲情してはむはむしたくなっちゃうケダモノなんで。怪物なんで。性欲のお化けなんで。……我慢するの結構辛いんですよ……」
「うん。分かった」――という課長は絶対分かっていない。どうせ今夜、課長はうちに来るのだ。
* * *
大型連休を目前にして、来てくれてよかったと思うのが正解かもしれない。――とわたしは、自分のマンションで味噌汁を作りながら思う。
GWは、ふたりで勿論ラブラブ。それからいよいよ、うちの両親に挨拶に行くのだ。実は、もっと前に行こうとは思っていたのだけれど、わたし的には、行くのなら先に課長のご家族に挨拶をしたかったし(課長は順番なんか気にするなと言ってくれたけど、そうはいってもね?)、それに、うちの父は、自分に内緒で物事を進められるのがとことん嫌いなタイプだから……母一人のときに紹介するわけにもいかず。こうしてずるずると伸びてしまったわけだ。
――結婚。
あまやかな単語に、胸が高鳴る。……ああ、課長と結婚……! いったいどんな幸せな未来が待っていることだろう。
課長が、好き。
どうしようもないほどに……好き。
こんなに好きになれるひとに出会えるのなんか初めて。一生分の恋を、している……。わたしきっと、課長に愛されるために生まれてきたんだ。課長を愛するために……。
幸せで胸がいっぱいになってしまうのも、課長と出会って初めて経験する出来事で。ひとり、味噌汁とご飯を食べていると予想通り、玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」とわたしが答えると、なにやらケーキ箱を手にした課長がやってきた。
「シュークリーム買ってきた。食べない?」
* * *
「おっぱい触るのとか……駄目?」
「駄目です」
「キスとか……ハグとか。ぎゅっぎゅとか。ぬくぬくとか。それも……駄目?」
「駄目です」とわたしは言い切る。「課長には女の生理のことは分からないかもしれませんが。……まあわたしはそんなに酷いほうではないんですが。重い子だと、地面に這いつくばって、痛いー、って絶叫する女の子とかいるんですよ?」高校時代に見かけた女の子の姿をいまだ、忘れられない。元気にしているといいのだが。
「だからわたし……ひとりで過ごそうって思ったのに……。課長ったら。いつもわたしの邪魔をするんですから……」
「おれさぁ。きみと離れた時期があったろ?」とシュークリームにかぶりつく課長は、「あれ経験してさ。まじで地獄でさ……。本当に辛かった。死ぬかと思った。あれがあったからこそ、おれは……出来るだけきみの傍にいる。そう、胸に誓ったんだ。
独りよがりで迷惑かけてたら……ごめんな?」
「いえそんな……」きゅん。と子宮が疼く。このひとの殊勝な顔を見ると子宮が収縮するように、わたしのからだは出来ている。「課長というより、むしろ、わたし自身の問題なので……。プライベートで課長の顔を見ると、欲情するように出来ている、わたしという人間のシステムエラー……バグのようなものでしょうか」
「愛しているから感じる。バグなんかじゃないよ……。莉子。おいで」
言われるからその胸に飛び込む。……この匂いも存在も、なにもかもが好き。
うるんだ瞳で見つめるその在り方も。わたしの髪を撫でるやさしい手つきも。抱き締めるぬくもりも。……ねえ課長。天国がこんな身近にあるだなんて、教えてくれて、ありがとう……。
「莉子。重いんだったら、八つ当たりしてくれたっていいんだよ? おれはそのために来ている……」
「やだ。八つ当たりだなんて……」
ぽんぽん、と頭を撫でる課長の手つきはどこまでもやさしい。父親のような穏やかな眼差しで、そっとわたしを抱き寄せると、
「……ふふ。すげえ、莉子、どきどき言ってんのな……」
「課長のほうこそ」
「――舐めたい。駄目?」
「駄目。駄目です……」
「だっておっぱいこんなとんがってんよ?」
「駄目……あああ、摘まむのとか、もう本当……!」
やさしくわたしを押し倒す課長の目に野性が光っていた。――それを見るともう、……抗えない。
「もう。好きにしていいよ……。でも、おっぱいだけだからね? おっぱい以外は駄目だからね?」
念押しをすると課長は嬉しそうにわたしを脱がせ、そして、わたしの感じやすすぎるそこにむしゃぶりついた。
「莉子のここ。あっま……」
*