「ねぇ、渚ちゃん」
「!綺羅榴さん!?」
3年先輩で21歳の綺羅榴さんが、休憩中に話しかけてきた
綺羅榴さんは、仕事を探していた私と瑠衣に声を掛けてくれた人
このバーで働くきっかけになった人だ
ここ1ヶ月間は勤務時間が私と全く逆で、全く話せていなかった
避けられているのかな、とも思っていた
「お久しぶりです!どうしたんですか?」
「うふふ、こうやって話すのはいつぶりかしらね」
「本当にそうですね、、、最近、全然話せてなくて、ちょっと引っかかってたので」
「うふふ、ごめんなさいね。それはそうと、、、あのね、渚ちゃん」
「はい」
それまでの明るい笑顔から一変、急に綺羅榴さんは声のトーンを落とした
「あなた、瑠衣ちゃん以外のカウンターで働く人の中で、唯一私にだけ、過去のことを話したって、言ってたでしょう?」
「、、、はい」
「だから、うっかり口を滑らせないように、あなたの過去のこと、忘れたつもりでいたの」
綺羅榴さんらしいと思った
優しくて、人のことをまっすぐに考えてくれる
だからこそ、そんな綺羅榴さんの話の続きが気になった
「何かあったんですか?」
「、、、渚ちゃん」
「あなたのご両親が、あなたを探しに東京まで来ているわ」
「、、、!?」
頭を殴られたような衝撃を受けた
あの化け物が、、、
東京まできている、、、!?
「、、、1ヶ月前のことよ」
「、、、、、、」
「いつも通り、私は出勤していたの、、、夜勤だったから、6時くらいだったかしら、、、あなたにそっくりな綺麗な女性を見かけたわ。前に見せてくれた、お母さんの写真に、、、そっくりだった」
「、、、、、、!!!」
「気のせいだと思った。疲れていたからね、、、その日はそれで終わったわ。でも、ほら私、口がゆるいじゃない、、、あなたに話してしまうかもしれないと思った。あなたは過去のことを思い出すとトラウマで発作を起こすから、、、って店長が言ったのを思い出して、私はあなたを避けていた」
、、、だから避けていたのね、、、
なんとか話を頭に入れ込む
「、、、そして、昨日、、、私はまた、あの女性を見た。隣には、大きな男の人がいた。そのまま、通り過ぎようと思ったわ、、、余計なことをしてしまいそうだったから、、、そしたら、あの人たち、私の腕を掴んで、、、渚ちゃんの、顔写真を私に突きつけてきた、、、この女を、見たことはないか、と、、、地獄の底から這い上がってくるような声で、、、私はもちろん、知りませんと答えたわ。見覚えがないと。でも二人は、見かけたら電話しろ、あいつのことだから何も考えず東京にきたに違いないからって、電話番号の書かれた紙を私に突きつけてきたの」
そして、綺羅榴さんは電話番号の書かれた紙を私に渡した
「、、、これが、あいつらの、、、」
低く恐ろしい声と、私を侮辱するような話し方、、、間違いない、あいつらだ
懸命に震えを止める
「渚ちゃん、店長には話してある。今まで以上にあなたを守ると言っていた。自分の安全を第一に考えなさい」
「、、、ありがとう、綺羅榴さん、、、、、、でも」
「?」
「、、、もう、逃げるのは嫌なんです、、、あんな奴らのためなんかに、、、」
「渚ちゃん、、、」
「、、、綺羅榴さん、この紙もらってもいいですか?」
綺羅榴さんは、心配そうに私を見た
「えぇ、もちろんよ、、、無理しないでね」
「ありがとうございます」
夢の少女と親、2つの出来事が、
私の人生を大きく変えようとしていた。
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