💙「涼太は、いいよな。あんな可愛い子と付き合えたんだから」
夏休みに入って、俺は翔太を自分の家に招いた。ちょっと前まで彼女が入り浸っていた俺の部屋。ベッドの上では噂通りに何度も愛し合った。なんとなく気まずくて、俺は今日までに大幅な部屋の模様替えをした。
お手製のクリームソーダをすげぇ、と喜んでストローで吸う翔太が可愛い。
そろそろ本格的な夏が始まる。
クラスの友人たちも今年は受験だからとなんとなく意気消沈していた。一方の俺は、彼女と別れたことで幾分すっきりした気持ちで夏を迎えられそうだ。
❤️「今年はあのお祭りで打ち上げ花火あるんだって」
💙「へえ?」
少し興味をそそられたのか、翔太が話に乗って来た。地元の夏祭り。幼稚園以来、翔太と行ったことはなかった。高校最後の思い出に翔太と花火を見たい。
💙「いつ?」
❤️「この日」
町内会で配られていたビラを見せる。
翔太も同じ気持ちなのか、久々に行こうぜ、と話に乗って来た。
❤️「やった」
💙「そんなに、喜ぶ?」
❤️「翔太と出掛けるの、久しぶりだもん」
💙「最近は仲良くしてんじゃん」
❤️「でも、デートは初めてだから」
💙「デートじゃねぇよ」
あっさり否定しながら満更でもない様子の翔太を、俺が胸を躍らせながら見ていることなんて、きっと翔太は気づいてない。
それでもいいと俺は思った。
ひと夏の思い出に、翔太と花火が見れる。ただそれだけで俺は満足なのだ。
コメント
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いいわぁ…最高