テラーノベル
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「だーかーら! 照は俺とジムに行くのが一番楽しいんだって!」「いやいや、その後のサウナで語り合う時間こそが至高でしょ!」
楽屋が揺れるほどうるさい。
原因は、Snow Manのリーダー・岩本照を巡る、仁義なきマウント合戦だ。
事の発端は、雑誌の取材で「無人島に一人だけ連れて行くなら?」という質問が出たことだった。
岩本が答えに詰まっていると、メンバーたちが勝手に立候補し始めたのだ。
「甘いな、お前ら」
阿部亮平が眼鏡をクイッと押し上げる。
「照の筋肉のコンディションから精神状態まで、データ管理できてるのは俺だけ。無人島での生存率、俺と組めば100%だよ?」
「データとか堅苦しいんだよ!」
渡辺翔太が割り込む。
「照が求めてんのは癒やしだろ? 俺が膝枕して、甘いもん食わせてやりゃイチコロなんだよ。な、照?」
「ちょっと待ってや!」
向井康二が岩本の右腕に抱きつく。
「照にぃの専属マッサージ師は俺や! 心も体もほぐせるのは俺しかおらん! 俺を選んでや、照にぃ!」
「はいストップ」
ラウールが長い手足で向井を引き剥がし、岩本の背中におぶさった。
「パパは僕のものなの! このサイズ感で甘えられるのは僕だけの特権! ねー、照くん、僕だよね?」
「ニシシ! 照の背中は俺の指定席だぞ!」
佐久間大介も反対側から飛びつく。
「俺らニコイチだろ!? 一心同体じゃん! 俺を選ばないとかありえないから!」
「……岩本くん」
混乱の中、目黒蓮がスッと岩本の前に立ち、その両手を大きな手で包み込んだ。
「俺なら、岩本くんのこと全部守りますよ。……リーダー休んで、俺の彼女になってください」
「「「はあぁ!? 抜け駆けすんな目黒!!」」」
全員がヒートアップし、岩本を取り囲む。
四方八方から伸びる手、手、手。
耳元で響く愛の告白と、止まらない求愛。
「照! 俺だろ!?」
「照くん、こっち見て!」
「照にぃ!!」
岩本の脳内処理能力は、とっくに限界を迎えていた。
嬉しい。確かに愛されているのは嬉しいが、あまりにも──
「……っ、もう……無理……」
岩本が顔を真っ赤にして呻く。
誰か一人なんて選べないし、そもそも圧が強すぎて息ができない。
「だあぁぁぁ!! お前ら、一旦離れろ!!」
岩本が叫び、強引にメンバーの腕を振りほどいた。
一瞬の静寂。
メンバーたちが「誰を選ぶんだ?」と固唾を飲んで見守る中、岩本は肩で息をしながら、部屋の奥で唯一、この騒ぎに参加せずスマホを弄っていた人物の元へ歩き出した。
そして、その人物──深澤辰哉の座るソファの前に立つと、ドサッとその足元に座り込み、深澤の腰に顔を埋めた。
「……ふっか……」
助けを求めるような、弱々しい声。
誰に媚びるわけでもなく、ただ「帰ってきた」という安堵の色。
深澤は、スマホを置いて、呆れたように、でも最高に優しく笑った。
「……おーおー。モテモテだな、リーダー」
「……うるせぇ。……隠せ」
「はいはい」
深澤は着ていたパーカーの前を開け、岩本の頭を抱き寄せて隠すように包み込んだ。
完全に「所有者」の顔だ。
メンバーたちが「あ〜〜〜っ!」と悔しそうな声を上げる。
「やっぱりふっかさんかよぉ!」
「夫婦には勝てねーのか……!」
「実家のような安心感ズルい!」
深澤は悔しがるメンバーたちを見渡し、勝ち誇ったようにニヤリと口角を上げた。
「悪いな、お前ら。……照の最終地点は、昔から俺って決まってんの」
そう言って、腕の中の岩本の頭をポンポンと撫でる。
岩本は深澤のパーカーの中で、深澤の匂いを吸い込んで、ようやく強張っていた身体の力を抜いた。
「……お前ら、うるさい」
「はいはい、ごめんな。しばらくこうしてような」
「……ん」
結局、どんなにイケメンたちに言い寄られても、岩本照が最後に選ぶのは、一番長く隣にいて、何も言わずに背中を支えてくれるこの男だけ。
最強のシンメ「いわふか」の絆を見せつけられ、7人の求婚者たちは完敗を認めるしかなかった。
コメント
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いわふか、この支え合ってる感じ最高すぎる! さすが私の最推しペア 続き待ってます!