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#大人恋愛
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「伊藤リュウジくん、最優秀観客賞おめでと〜!!」
八村君が、ビールを持って乾杯の音頭を取っていた。
「わーい!ありがとうございます」
ハチミツ先輩コンビと、後輩たちと一緒に、会場のすぐそばの小さな居酒屋へやってきた。他にも受賞者たちの企業さんがそこで打ち上げをしているようだった。
「お前、すごいやつだな!本当にめちゃくちゃ感動したよ!本当にすごい企画力だよ!」
普段、あまり人のことを褒めているところを見ないような八村が、リュウジの頬に触れて、思いっきり褒めちぎっていた。
「正直、サンゴのアイディアと似てるし、心配してる部分もあったのに……ちゃんとサンゴの名前出してくれて……嬉しかったよ!!しかもあそこまで発展させた計画的な企画になってるなんて!!本当にサンゴの分もありがとうって思ってる」
蘭までも、とても細かく、リュウジに絶賛を送っていた。それを聞きながら、八村もリュウジもにっこりと頷いていた。
同期の子達も、それぞれが思いをリュウジに告げにきてくれただけではなく、別のテーブルで飲んでいた他の企業の方もやってきて、名刺を置いていってくれていた。
「伊藤さんの企画、うちでも是非とも協賛させていただきたいんです!今度、打ち合わせとかどうでしょうか?」
「ありがとうございます!」
その日のサンゴは、たくさんの人を感動させているリュウジの様子を見ながら飲むお酒が、本当に美味しくて仕方なかった。
「ねえ、見てよラン〜〜。あたしのリュウきゅん、すごいでしょ!!」
「うん。ほんと。すごい!スピーチもさ、二人の絆が感じられて、私は泣けてきちゃったよ。サンゴ、よかったね」
そう言いながら、蘭は可愛らしいレースのハンカチで目元を押さえていた。
「ふふふ。ありがと!八村君にまで、あたしのリュウきゅん褒めてもらえて、めっちゃ嬉しかったよ」
「うん。まあ、お前のリュウきゅん、すごかったよ。認めざるを得ないよ。お前もよく頑張ったな」
「へへへ!」
蘭と八村は肩を並べて、ふと隣同士、お互いに優しい目で見合わせていた。二人がうなずきながら、リュウジを誉めてくれているこの状況に、サンゴは幸せな気持ちだった。
「ありがとね!二人とも!!」
「二次会行く方ー!」
「一度お会計して、入り口に集まりましょー」
最終的には、コンペに出ていた他の企業さんとも合同で、別の場所に流れようという話になっていたようで、リュウジの同期がその場をまとめてくれていた。
「M社も一緒に行っていいですか?」
「是非是非〜」
サンゴが少し中心から離れたテーブルで、蘭と八村と一緒にビールを飲み干してから立ち上がると、ふとリュウジが隣にやってきた。
「サン先輩、酔ってる?」
「全然だよ」
頬が赤くなっているリュウジの頬を見て、いつものように指で押そうと思いながら、なぜか両手で両頬を包み込んでしまっていた。
「わー!リュウきゅん、熱くなってる〜ははは」
「うわっめっちゃ酔ってるんだが……」
リュウジは少しだけのけぞって、たじたじになっていた。
「全然酔ってないよぉ!」
笑顔で楽しいそうなサンゴの千鳥足を見て、リュウジは彼女の体を支えるために腕をそっと持った。
「すみません!サン先輩と俺、帰るんで」
リュウジが、八村と蘭の方を見て手を上げると、二人もこちら側を見て手を上げて会釈した。
「りょうかーい!」
「よろしくー!」
手を振る二人を見て、サンゴは残念そうな声を出した。
「え〜?主役なのに!もう帰るのぉ?」
そんな彼女の耳元に、リュウジは口元を近づけた。
「サン先輩!俺、今日本当に頑張ったでしょ?よかったらご褒美くれませんか?」
「うーん、高いものは買えないよ?」
にっこり笑っているリュウジに、サンゴは眉をひそめた。
「サン先輩の家まで送らせて欲しいな」
「え〜?そんなんでいいの?もちろんいいよ!!」
「やった!!!」
電車に乗って、駅を降りて、本当にすぐお家へ着くと、リュウジは部屋の中まで入ってきた。
「お邪魔しまーす!」
「わあ、中まで入るの?」
「そりゃそうでしょ」
リュウジがサンゴをソファに座らせて、水をコップに持ってきてくれたあと。彼は一人で部屋を見わたして、ワンちゃんのようにはしゃいで大喜びしていた。
「こんな部屋に住んでたのかー!!!!わー!!!」
「そうですけど、何か?」
「すっごく見てみたかったんだ!!!サン先輩の部屋!!」
「そうなの?」
「本当にずーっと見てみたかった!!まさかこんな感じだとは!!めちゃくちゃ意外!!」
「そう?」
「すごい!思ってたのと違うけど、めっちゃおしゃれ!」
「うん、悪い気はしないな」
リュウジは嬉々として、カーテンや、クッションにふわっと触れて、部屋に飾っていた貝殻やアクセサリーを眺めていた。
「メンズライクで、シックな部屋だとは……。そこに、こういうオルテガ柄とかって……西海岸とか、海のイメージだね。先輩って海の近くの出身とかじゃないよね?」
「うん。私はこの辺だよ」
「だよね。じゃあ、海が好きなの?」
「うん。全然泳げないし、入らないけど。見るのが好きなの」
その言葉に、リュウジはさらにとろけるような笑顔になった。
「そっか!!ふふふ。いいね!!海が好きだなんて、すごくいいな!!名前もサンゴだからかな?」
「そう……かな?」
「ふふふ。いつか、サン先輩と海行きたいな〜」
「いいよ」
「やった!」
リュウジは、なぜか棚に飾ってあった貝殻やアクセサリーを見て、これ写真撮っていい?と言って、スマホに収めると、飛び跳ねる勢いでこちらを見た。
(そんなところを撮っても、何が楽しいんだか……)
そして、一度カバンの中からトロフィーを出すと、その棚のサンゴの横に並べて、また写真を撮った。
「会社に持ってかなきゃだよ」
「うん。写真だけでも……」
「ふふふ」
それが終わると、彼はまたトロフィーをしまってから、リュックを担いだ。
「じゃあ、サン先輩。お家見せてくれてありがとうね!」
リュウジは満足げに、こちらを見てポケットに手を突っ込んだ。
「う……ん?」
「お邪魔しました」
そう言って、玄関の方へさっさと歩いて行くリュウジを見て、サンゴは慌てて追いかけた。
思わず、彼の袖を掴んでしまう。
「なんで?もう帰るの?」
「うん」
「ご褒美は?」
「もうこんな素敵な、海のお家見せてもらえたから……」
リュウジが満足そうに靴をはいたのを見て、サンゴはなんだか悲しい気分になってきた。
「えーん!寂しいよお」
「そんな……」
「もっとご褒美あげるよ?うち、お菓子もあるよ?」
そんなことを言いながら、サンゴは両手でリュウジの首に手を回して、もう少しで抱きつきそうな距離で彼を見つめていた。
「ほら、こうやってキスだってあげるよ!」
そう言って、リュウジの右頬にキスをした。
……それからまた元の位置に戻って、リュウジを見上げると、彼は真っ赤な顔で頬を右手で押さえていた。
「サン……先輩、自分で何してるかわかってる?酔っ払いすぎ」
コメント
1件
リュウくんの大活躍、本当におめでとうございます!🥳 打ち上げでみんなに褒められるリュウくんを見て、サンゴ先輩が幸せそうに飲むお酒、こっちまで美味しそうに感じました。でも何よりグッときたのは、家に上がって「海のお家」って目を輝かせるリュウくんの純粋さと、帰ろうとする彼を引き留めて頬にキスしちゃうサンゴ先輩の愛おしさ…!酔ってるとはいえ、あの距離感、たまりませんでした。最後のリュウくんの照れ顔、想像するだけで胸がきゅんとしました♡