浮かれて起きた俺を待っていたのは、昨日の暴言の反芻。
『どうせヤッてんだろ』
いや、言っても高3。しかも恋人がいた人だ。経験済みでも何もおかしい事はない。
しかし俺は童貞。
阿部さんのお母さんに大歓迎だよと言われてもう半分恋人気分のまま次のステップに考えが及び、もしその時がきて下手くそとか思われたらどうしようと勝手に焦っていた。
部活も大事な試合が近づいているので、恋に浮かれてばかりもいられない。
阿部さんに見つけてほしいという下心もあったけど、もともと好きで頑張っていた事に打ち込んで結果を出しているのは純粋に嬉しかった。
深澤先輩をはじめ、部員のみんなも応援してくれている。
💜「今度の試合、阿部ちゃん呼べば?」
ある日、深澤先輩から思ってもいなかった事を言われた。
💜「ナベが…あー、共通の友だちがさ、目黒が試合で結果出してるの嬉しいって聞いたって」
🖤「嬉しい」
3歳児みたいな語彙になる俺を見て深澤先輩は笑う。
💜「自分で誘えよ」
🖤「頑張ります」
自信満々に答えたのに、その日家に帰ってからはなんて言って誘おうか考えすぎて勇気が出ず、結局次の日の昼休みに康二とラウールに協力してもらった。
🤍「普通に今度の試合観に来てくださいでいいじゃん」
🧡「そうや、何悩んでんの」
🖤「そっか…よし、送る」
🖤『今度の試合、観に来てくれませんか』
🧡「さぁ返ってこい」
🤍「あ!来た」
3人で覗き込む。
💚『ごめんね、用事で行けない』
ラウールが『えぇ〜』と大きなため息をついた。
🤍「俺自分の事みたいにショックなんだけど」
🧡「次またデートしましょうって送っとき」
🖤「デートなんて…」
童貞の負い目と観戦を断られたダブルショックで、俺は『わかりました』と返事するのがやっと。
その日はお弁当も喉を通らなかった。ラウールが心配して持っていたチョコレートをくれたけど、俺が阿部さんにあげてラグビー部の奴らにぶちまけられたのと味違いの同じ商品だったから尚更落ち込んだ。
だが、落ち込んだところで試合はやって来る。
俺は一旦阿部さんの事を考えるのをやめ、とにかく当日に向けて部活に集中する事に決めた。
そして俺は知る由もないが、その頃3年生の教室ではちょっとした事件が起きていた。
💚「何で勝手に返事するの…俺行きたかったのに」
💙「バーカ、ここからだよ」
コメント
8件
健気なめめが可愛すぎる🖤 なんか企んどるなー?悪友さん💙💜
え?お?悪友〜!何、企んでるの〜😅
童貞の負い目かわよ🖤またカンペ書こ?w