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レッスンが終わると同時に、帽子を深く被って帰っていく来都くんは、ものすごいオーラがあった。また来てほしい、そう願った。
芸能活動を復帰した来都くんは、映画の主演が決まって会えなくなった。
初めてのVIPは来都くん、その嬉しさが仕事を頑張る希望となった。ライブに行く日は有給をとってあるから、絶対来都くんに気付いてもらわないと!刻一刻と近づく、待ちに待った会える日。
でも、席はちょっと遠かった。気付いてもらえないかもしれない。それでも、彼を見れればそれでいい。その気持ちで彼を見つめた。
ライブも終盤、来都くんを乗せるトロッコが私の横に回ってきた。思いっきり叫んで、思いっきり手を振った。
すると彼は、時が止まったかのように私を見つめてくれた。手を振ることもなく、何かを悟ることもなく。
きっとこの空気が、時間が、私の幸せなんだ。それでもいいから愛を伝えたい、やっぱり君が1番だと。
でも振り返るともう来都くんはいなかった。現実っていうのは残酷で、儚いものなんだろう。