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桜空

816
桜🌸
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・ω・ 🐌
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PM 10:43「……まだ帰らないで」
「岩ちゃーん、これ食べていい?」
「それ俺のプリン」
「えー! ひとくちだけ!」
「お前の冷蔵庫にも入ってんだろ!」
「岩ちゃんのが食べたいの!」
「意味わかんねえよ!」
岩泉の部屋に、いつもの騒がしい声が響く。
付き合い始めてから初めてのお泊まり。
……のはずなのに、及川はいつもどおりだった。
いや。
いつもどおりに見せようとしていた。
「……ごちそうさまー!」
プリンを食べ終えた及川は、岩泉の隣にちょこんと座った。
テレビでは深夜のバラエティ番組が流れている。
けれど、及川は画面をほとんど見ていなかった。
ちらっ。
隣を見る。
岩ちゃん。
ちらっ。
もう一度見る。
……やっぱり、かっこいい。
「……なあ、徹」
「ひゃいっ!?」
「……何に驚いてんだよ」
「な、なんでもないですけど!?」
岩泉が怪訝そうに眉を寄せる。
「……お前、今日ずっと変だぞ」
「変じゃないもん!」
「じゃあ、こっち見ろ」
「…………っ」
及川は固まった。
岩泉が少しだけ顔を近づける。
「……何考えてんだ?」
「……べ、別に」
「徹」
名前を呼ばれる。
それだけで、胸がどきっとした。
及川は観念したように、岩泉の服の裾をつまんだ。
「……もうちょっと、くっついてもいい?」
岩泉は一瞬、目を見開いた。
それから、ふっと笑った。
「……最初からそう言えよ」
大きな腕が伸びてくる。
及川はその胸に、そっと寄りかかった。
「……えへへ」
「……ったく」
そう言いながら、岩泉は及川の肩を抱いた。
テレビの音が、少し遠くに聞こえた。
⸻
💗 PM 11:18「……好き、岩ちゃん」
「……ねえ、岩ちゃん」
「ん?」
「……キスして?」
岩泉の手が止まった。
及川は顔を上げないまま、ぽつりと続ける。
「……今日、ずっとしたかったんだもん」
「…………」
「……だめ?」
岩泉は、及川の顔を覗き込んだ。
耳まで赤い。
いつものようにからかう余裕もなく、及川は岩泉の返事を待っていた。
「……だめなわけねえだろ」
岩泉はそっと頬に触れた。
及川が顔を上げる。
目が合った。
そして、優しく唇が重なる。
一度離れても、及川は岩泉の服をつかんだままだった。
「……徹?」
「…………もう一回」
「……お前、今日は甘えん坊だな」
「……悪い?」
「いや」
岩泉は及川の額に、自分の額をこつんと合わせた。
「……かわいいと思ってる」
「…………っ!!」
「なんだよ。自分から頼んできたくせに」
「だ、だってぇ……!」
及川は真っ赤になって、岩泉の胸に顔を埋めた。
「……岩ちゃん、ずるい」
「何がだよ」
「……そういうこと、普通に言うんだもん」
岩泉は小さく笑い、及川の髪を撫でた。
「……好きだからな」
その言葉に、及川はぎゅっと抱きついた。
「……俺も、大好き」
今度は、岩泉から額にキスをした。
「……知ってる」
「……ばか」
「はいはい」
二人の笑い声が、静かな部屋に溶けていった。
⸻
🌙 PM 11:47「明日も、ここにいたい」
そろそろ寝ようか。
そんな話をしていたときだった。
「……岩ちゃん」
「ん?」
「……明日の朝も、一緒にいられる?」
岩泉は不思議そうに首を傾げた。
「……泊まるんだから当たり前だろ」
「……そうだけど」
及川は少しだけ言いよどんだ。
「……なんかさ」
「……うん」
「恋人になってから、岩ちゃんがもっと好きになっちゃって」
岩泉が黙った。
「……一緒にいると嬉しいし、離れると寂しいし」
及川は照れくさそうに笑った。
「……自分でも、ちょっとびっくりしてる」
岩泉はしばらく及川を見つめていた。
それから、その手をぎゅっと握る。
「……俺だって同じだよ」
「……え?」
「お前といると楽しいし、帰ったあとも、また会いてえって思う」
及川の目が丸くなる。
「……岩ちゃんも?」
「……ああ」
「……ほんとに?」
「何回言わせんだよ」
岩泉は少し照れた顔で、及川の頭をくしゃっと撫でた。
「……だから、そんな心配すんな」
「…………」
「……明日も一緒にいようぜ、徹」
及川は、とうとう我慢できなくなった。
「……っ、岩ちゃぁん……!」
ぎゅううっ。
勢いよく抱きつく。
「お、おい! 苦しい!」
「……好きぃ……!」
「……はいはい」
「……もっとぎゅってして……!」
岩泉は一瞬だけ目を丸くして。
それから、優しく腕に力を込めた。
「……これでいいか?」
「……うん」
「……まだ足りねえ?」
及川は岩泉の胸に顔を埋めたまま、小さく頷いた。
「……もうちょっと」
岩泉は笑った。
「……しょうがねえな」
そうして二人は、しばらくそのままでいた。
夜は静かに更けていく。
明日になっても、きっとまた会える。
それでも今は。
この腕の中が、いちばん安心できる場所だった。
「……おやすみ、徹」
「……おやすみ、岩ちゃん」
最後にもう一度、優しいキスを交わして。
二人は寄り添ったまま、眠りについた。
コメント
1件
もう……最高でした!!😭💕 付き合い始めて初めてのお泊まりで、及川がこんなに甘えん坊になるの可愛すぎるでしょ!「キスして?」って自分から言っちゃうとか、岩ちゃんの「かわいいと思ってる」にもうノックアウトされました…。お互いにもっと好きになってる感じがひしひし伝わってきて、胸がきゅんきゅんしました!二人の幸せな時間、ずっと見ていたいです。しゅぴさん、素敵な話をありがとうございます!✨