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女王ロカはギャンビットを軍人訓練施設
で処刑することとした。
「私の気が変わるまでにさっさと失せなさい。」
巨漢の男を運ばされた40人の少女達は裸のまま逃げ惑うようにその場を去った。
そして、女王ロカは対ギャンビットに
対する必殺の最終兵器を用意し、 ギャンビットを尋問する。
【尋問タイム】
女王ロカがギャンビットの心を殺すために
用意した切り札、それは
『現在戦争中の隣国との停戦協定、ならびに
隣国への領地返還』
と書き記された条約の締結書だった。
《シドニア王国の心臓》は
それを見て激怒した。
「ふざけるなッ……!!!正気ではないと思っていたがここまでだったとはな……..!!!!! 俺達戦士が命を散らして切り開いた我が国の領土を、あっさりと敵国に 明け渡すというのか…..!!!?あなたはそれでも本当に女王なのか!!!!?」
残念ながら『悪政のロカ』は純然たる
復讐鬼、 女王ではなかった。
【解説】
ロカがいつ、この条約を秘密裏に締結したのか。 それは一年前の十二月であった。
女王ロカは度々闘技場の地下の快楽部屋
に足を運んでいた。
そして裏で手を回し、とある男と密談を交わした。それは敵国の 国王であった。
この事実には二つの疑問点がある。
なぜ、敵国の国王は女王ロカと密会したのか。
そしてなぜ、女王ロカはルーク•グリッツファーの監視から逃れ密会をさせることができたのか、だ。
その二つの質問の答えには女王ロカの持つ
強烈な色香が関わってくる。
『悪政のロカ』の悪名は、敵対諸国にも
当然轟いていた。
王として様々な女を抱き飽きた敵国の
王が味見をしてみたいと考えても不思議ではない。
実際、女王が密会の手紙を提案すれば
敵国の王は意図も簡単に釣れた。
敵国の王はロカを侮っていたのだろう。
あるいは数々の女を抱いた自分に自信が
あったのだろう。
だがしかし、敵国の王はいともあっさりと
女王ロカとのセックスに溺れロカに籠絡された。
それほど女王ロカの 放つ色香は 強烈なものなのだ。
密会の手紙は女王の間者が秘密裏に送っていた。
バルザード十三世が間者を王宮内に忍ばせていたように、女王ロカにも優秀な間者が
いた。
その間者は実際、女王ロカの処刑をこれまで免れてきたほど優秀であり、少なく見積もってナイト•クラウンの5倍優秀な男であった。
だがナイト•クラウンと違いその間者はホモではなかったため見事にロカの色香に籠絡され忠実な駒となった。
その後彼は 密会の手紙を 王宮内の誰にも悟られることなく送り届け、 女王ロカの命によって自ら首をはねた後、闇に葬られた。
女王ロカの持つ色香は、時に核兵器よりも
有効で、恐ろしい、戦略的兵器だった。
そしてロカはその兵器を使い、復讐対象で
あるギャンビットの急所を見事について
見せた。
ギャンビットの戦友達が命を散らして獲得
した領土と、そこにいるシトラスの民達の
命運が、 たった一枚の紙切れにかかっていた。
「今ならこの紙を破り捨てて
あなた達の命より重い領土を敵国に明け渡す
約束を取り消してあげる。」
ロカは悪辣な笑みを浮かべた。
「条件は二つ、なぜ夫の殺人を計画したか
白状すること、それと今回のクーデターの
見せしめとして大人しく殺されること。」
『シトラス王国の心臓』を、国の命である領土をしっかりと握りしめながら 『悪政のロカ』は 言った。
「死にたくなければ、本性を曝しなさい。」
だがしかし、そんなロカの思惑とは
裏腹に、ギャンビットはこう呟いた。
「……俺じゃない。」
「クーデターの首謀者は、俺じゃない。」
そう言って、ギャンビットは血を吐いた。
しばらく痙攣したあと口から泡を吹いて
糞尿を垂れ流しながら死んだ。
その姿を見て、ロカは最悪の想定をする。
そして最悪なことにロカの予感は
当たっていた。
(嵌められたッ…….!!!!あの男に……!!!!)
そう、『悪政のロカ』は、とっくのとうに
詰んでいたのだ。