いつもの“声帯精神”事務所につく。
そう。私が働いているのは声が出なくなった人のための病院?だ。病院と言っても病院らしきことはしないけど。
「ちょっと、10分も遅刻してるよ〜?」うちの事務所の社長が呟いていた。
「はいはい、10分だけでしょ〜?」社長と同じ口調で言い訳をしてみる。
「来てあげただけマシですよ、ここ働いてるの私くらいだし。給料も仕事のわりには少ないし。」
ほんとその通りだ、と自分の中で うんうん と頷いた。
「仕方ないじゃーん、この仕事だって一応公務員なのに、国がお給料出してくれないんだもーん。」
子どもがだだをこねるように言った。
「そうですか。」元々諦めているのがわかるような返事を返した。
社長の胸付近には“木村 拓郎”という社長の名札がついてあった。
やっぱりこの名前キムタクにしか考えれない。
この名前にしようって親御さんもよく思ったな、私ならキムタクしか頭が考えられなくなってこの名前嫌いになりそう。
「社長はなんで“拓郎”になったんですか?」思ったことを口にしてしまった。
「え゛、そんなの親がキムタクにしたかったんじゃない?」社長は驚いたように言った。
「なにそれ、変なの。」
「聞いてきてひどいな〜」彼はくす、と笑った。
「じゃー、米田 夢っていう名前の由来は?」少しびくついた。だって、私の名前の由来なんて簡単だ。夢を待ってほしいってだけ…しょうもなさすぎる。
「そんなの夢をもってほしいからとかでしょ、」捨てるように言葉を話した。
「米田くんの由来はいいね。夢を持つなんて、ロマンチックじゃないか。」以外な反応が帰ってきて、少し戸惑った。
なんだか照れくさくて何もいえなかった。
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