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#続くかは知らん☆
ただの僕
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初
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【キッドside】
小さな背中が闇に溶けて消える。
残ったのは静寂と、自身の冷え切った体温。
『これ以上はついてこないで。……いい?』
そう言って僕を包み込んだ彼女は、とても暖かかった。
(一体、なにが……?)
目まぐるしく変わる状況にキャパ落ちした脳は、グルグルと同じ思考を繰り返す。
あのとき……、彼女に明確な殺意を向けられ、僕の中に眠っていた膨大な記憶が掘り起こされた。
しかし、その中にここを脱出した記憶はなく、道中で死ぬか、彼女に殺されるかの繰り返し。
思い出してはすぐに殺され、また同じ末路を辿る。
……はずだった。
今この時だけ、僕の運命に綻びが生じている。
頭の中で少しずつ情報を紡ぎ、導き出された答えにハッとする。
(今回ならっ……!)
この反吐が出るような悪夢を抜け出せるかもしれない。
突如として湧いた未来をようやく実感する。
希望を込めて拳を握りしめる。
しかし、その感触にどうも違和感があった。
(そっか、今はノームだから……)
持ち上げた拳は小さく、とても頼りない。
この世界では、どんな瞬間にも命の危険が伴う。
ノームになって身体能力も大幅に落ちている中、今まで通りに大人達から逃げられるのだろうか?
そもそも、出られたとして僕はもう……人間じゃない。
先ほどの熱はすぐに霧散し、失望に沈みそうになる。
重たい空気を振り払うように首を振った。
(僕はここから逃げるんだっ!)
出られた後のことは、出られた後に考えればいい。
重たい沼にハマりかけた思考を引っ張り上げ、なんとか前を向く。
重厚な扉は、今の僕には開けられない。
なんとか別の道を探さないと。
立ち去る間際、ふと扉の奥に消えた彼女に想いを馳せる。
残虐で無慈悲で、悪魔のような少女。
殺されるたびに作り上げられていく僕の中の彼女。
今でも、思い出すと足がすくむ。
なのに、ここまで着いてきてしまったのは、彼女が、ここに来て初めて触れた人間だったから。
畏怖の対象である彼女に、無意識に縋ってしまいたくなった。
そして、その温もりの片鱗に触れる。
きっと、この世界では彼女も被害者なのだろう。
……ほんのちょっと交流しただけで相手を知った気になる僕は、ひどく単純なやつだ。
(願わくば、彼女に幸あらんことを。)
自分のことすらままならない中、強欲にも彼女の行く末に願をかける。
扉から背を向け、決意の一歩を踏み出した。
これからは、僕の物語が始m……
ぐらりと視界が揺れる。
耳が割れるような轟音と共に視界を瓦礫が塞ぐ。
『世界が崩壊を始めた。』
理由や根拠はなく、感覚的に理解する。
きっと、彼女がいなくなったから。
この世界の中心は、どこまで行っても彼女なんだ。
僕じゃない。
這い寄る絶望に足を取られる。
(結局、僕は最後まで脇役かぁ。)
やっぱり君のこと、嫌いだ。
歪みゆく世界で、静かに意識を手放した。
コメント
1件
うわあ、この第3話……ループ構造とキッドの内面がきっちりリンクしてて痺れました。「♡♡♡れるたびに彼女のイメージが作られる」って視点、すごくしんどいけど美しい仕掛けだなと。そして世界の中心が彼女で、自分は脇役という諦念——「やっぱり君のこと、嫌いだ」の台詞に全部詰まってる気がします。ノームになった小さな拳を握るシーン、泣けました。続きが気になる……!