テラーノベル
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【キッドside】
瞼を開けると、明かりのない不気味な部屋で寝ていた。
質の悪いシーツが顔に擦れて痛い。
ぼんやりとした意識の中、また戻ってきたことを理解する。
また……
(ん?)
『また』という言葉に引っ掛かりを感じ、勢いよく飛び起きる。
僕は複数あるベッドの一つに横たわっていて、足にはいつも通りの重たい足枷がはまっている。
服も髪もある。
目線も、もうノームのものではない。
僕は間違いなく、最初の場面に戻ってきた、はず……。
「あ、あれぇ……?」
思わずこぼれた独り言を慌ててつぐむ。
周りに誰かいたら見つかってしまう。
ひとまずベッドから這い降り、部屋の出口へと向かう。
(もう、本当になんなんだよっ!)
消えて無くなるはずの記憶は、今も鮮明に残っている。
いちいち一喜一憂して、ずっと一人相撲していたのが恥ずかしくなってきた。
どうやら、僕が思っている以上に大きなバグがこの世界を侵食しているようだ。
自分一人でウジウジ悩んだって、どうしようもないことは起きる。
なら、与えられたものに縋り付く方が、よっぽど僕らしい。
爆発寸前の脳を休ませ、廊下の奥をまっすぐに見据える。
人間のまま、ここから逃げ切ってやる。
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【シックスside】
「っ……!」
ビクリと体が跳ね、目を覚ます。
飛び起きた先にレディはおらず、ギシギシと床が軋む音だけが耳に届く。
レディには負けたものの、しっかりと戻ってくることはできた。
だけど、死の瞬間を覚えているというのは、なかなかに精神を蝕む。
寝起きの倦怠感も相まって、ひどく気分が悪い。
「……」
目が覚めたら、モノが迎えにきてくれる。
そんな甘い幻想は叶わず、私は未だ、モウに囚われたままだ。
ポケットから取り出したライターに火を灯す。
立ち止まっても仕方がない。
飽きるほど通ってきた道を前に、歩を進める。
(……レディを倒せなかったから?)
こちらを絡め取ろうと這い寄るヒルを避けながら、なんとかペイルシティへ行く方法はないかと考え込む。
私の死がトリガーとなって過去へ戻るなら、モノを裏切る前のペイルシティにも戻れるのではないかと思っていたが、現実はそう甘くないらしい。
それに、記憶の中で私は、何度かモウからの脱出に成功しているにもかかわらず、今ここにいる。
それは、モウからの脱出自体、単純な話ではないということなのだろう。
ふと、立ち止まる。
いつのまにか少し道がズレていた。
もはや慣れ親しんだ場所とはいえ、没頭しすぎた。
本来潜るはずの隙間はとっくに通り過ぎ、今は2階の廊下を意味もなく往復していた。
ペース配分を間違えたのか、少し息が上がっている。
「はぁ……」
どれだけ急いでいても、迂闊なミスが重なると命取りになる。
ここは一旦休憩しよう。
ちょうど空いている小部屋を見つけ、ベッドに腰掛ける。
もともと考えることも得意ではなく、想像以上に疲労が溜まっていた。
シーツが埃を巻き上げながら体を受け止める。
……トッタッタッタッ。
どこからか小気味良い足音が響く。
#続くかは知らん☆
ただの僕
213
84
初
141
ノームだろうか?
それにしては少し大きいような。
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キッドは足枷の存在を感じさせない軽やかな動きで、眼前の穴に飛び込む。
今までのループから、その下のベッドが自身の体重を受け止めることを知っているため迷いがない。
いつもなら何の問題もなく着地できる。
はずだった。
「「……っ!?」」
常に薄暗いモウには不釣り合いな明るい黄色がキッドの視界を埋め尽くす。
全く想像できなかった展開に固まったのはシックスの方も同じ。
互いの視線が交差し、固定される。
時が止まったかのような静寂の中、キッドの体は重力に従ってベッドに吸い寄せられる。
「危ないっ!」
バフンッと鈍い音を立て、あたりに大きく埃が舞った。
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