テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠️注意書き
・ちょい恋愛?
・緑黄
・魔女設定
・下手っぴ注意報
開けっ放しの窓から軽やかな風が吹き込み、半透明のカーテンを揺らす。
朝日が斜めに入り、ゆっくりと目を覚ました。
今朝、あれから部屋に戻ったのは3:00前だった。
流石に疲れて、すぐに寝てしまった。
今日も、朝からドタバタと使用人達の慌てた足音が屋敷に響く。
お父様が、「食事が遅い」と言って暴れる前に、
急いで朝食の準備をしているんだろう。
俺も行かないと、
機嫌を損ねる前に。
食卓では会話を交わさずに、
食べ終わればすぐに自室に篭もる。
お父様の機嫌が悪いと、使用人への説教を最後まで聞かないといけない。
今日はそこそこ機嫌が良かったのか、文句も言わずに食事を済ませていた。
部屋のドアを閉め、鍵をかける。
一息ついてベッドに寝転がり、壁の時計を見つめた。
時刻はまだ8:00。
また長い1日が始まる。
昼間は絵本を読んで時間を潰す。
小さい頃はお母様が読み聞かせをしてくれていたけど、
最近はもう話すことも少なくなった。
部屋の中で、同じテンポでページを捲る単調な音だけが聞こえる。
👑「…早く夜にならないかなぁ、、」
頭に入らない文章を目で追いながら、そう呟いた。
待ちに待った真夜中の0時前。
窓の側に立って、すちくんを待つ。
暫くして、カーテンが一度、大きく靡いた。
🍵「…わあ、!」
🍵「待ってたの?笑」
昨日と同じように優しい目を向けてくれる。
今日は不思議と、その視線にドキッとした。
👑「…うん、」
👑「待ってた」
すちくんの言葉に応えるように、差し出された手を握る。
🍵「お手をどうぞ、お姫様」
👑「…女の子じゃないもん⸝⸝」
🍵「だって、みことちゃん白いし細いし、小さいんだもん、笑」
👑「すちくんと同じくらいだから!」
繋がれていないもう片方の手を振りかざし、すちくんを軽く叩こうとした、
その時。
__グラッ
👑「きゃっ、、!」
🍵「ちょっと…!」
片手を箒の柄から離したせいで、バランスを崩して落ちそうになる。
🍵「…あぶなぁ、笑」
間一髪のところで、すちくんに支えられた。
👑「ごっ、ごめん」
👑「ありがと…、」
落ち着いて顔を上げると、
お互いの鼻が触れる距離に、すちくんの顔があった。
👑「…ぁ、⸝⸝⸝」
👑「ぅわあっ、!⸝⸝⸝」
びっくりして、思わずすちくんの肩を押して跳ね除けてしまった。
🍵「だーめ!」
が、すぐに引き寄せられる。
🍵「落ちると危ないでしょ?」
🍵「このままで大丈夫だから」
👑「へ、ぁ…、⸝⸝⸝」
触れている肩から、
絡められた手から、
温もりが伝わって来そうで、鼓動も早まる。
頭をコツンと乗せて、繋がれた手を握り返した。
目の前に広がるのは、一面の花園。
昔、お父様たちと喧嘩した時とか、嫌なことがあった時とかは、
こっそり屋敷を抜け出して、ここへ来てたっけ。
月明かりに照らされて、ほんのりと輝く色とりどりの花々。
箒に座りながら、花びらへ手を伸ばす。
🍵「こんな所があったんだね」
足をブラブラと弄ばせながら、すちくんが言う。
俺がここへ来たいと言ったら、連れてきてくれた。
👑「…俺の秘密基地」
🍵「秘密なのに、俺に教えていいの?」
👑「いいの、」
一輪の白い花を手に取って答える。
夜空に翳すと、深く濃い紺色が反射して見えた。
🍵「…ねぇ、みことちゃん、」
🍵「あっちに流れ星見えたよ」
👑「えっ、どこ?」
指差された方へ顔を向ける。
けど、いつまで経っても星は動いて線を描かない。
👑「…ないよ?」
🍵「じゃあ、見間違いだったのかも」
👑「なんだ、」
掴んだ花をくるくると回しながら、もう一度宙を見上げる。
もし、流れ星が見えたら__。
その時は何をお願いしようかな__。
隣で同じように夜空を見ているすちくんに目を向けて、そんなことを考えていた。
あの後、部屋に戻って、今夜も会う約束をした。
別れる直前、渡したいものがあると言って、すちくんがいつも首から下げていたペンダントをくれた。
大切にしてそうだったのに、もらっていいものなのか不安だったけれど、
「あげたかったから」って、少し頬を桃色に染めて言ってくれた。
出窓のカウンターに体重をかけて、
青く輝るペンダントを見つめる。
👑「…やった、、!(ボソッ」
なんだか、” 特別 “ になった気分。
ペンダントを机の上にそっと置いて、ベッドへ向かう。
ふと姿見を覗くと、頭の上に何かが付いていた。
気になって頭へと手を伸ばす。
👑「…花?」
一輪の花が添えられていた。
部屋が暗くて、何色かは分からない。
ベッドに取り付けられたランプを灯す。
ランプに近づけてみると、薄い黄色の花が徐々に顕になった。
一体、いつ…。
👑「…あ、」
…流れ星、、
付けられるとしたら、あの時しかない。
思い出して恥ずかしくなり、一人、頬を赤くした。
花は傷が付かないように、引き出しの中に丁寧にしまって、鍵もかけた。
ペンダントは、お父様達がいない所で付けよう。
遠のいていく意識の中で、そう思った。