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ruruha
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順番が来ると、すぐに白馬へ向かう。
「陽雅さん! 座ってください!」
「わかったから、そんな慌てないで」
陽雅さんが白馬に座ると、俺は隣の馬に乗る。
陽雅さんの方を見ると、陽雅さんはニコッと笑った。
かっこいい。やっぱり似合う。王子様だ。
見とれていると、アナウンスと共にメリーゴーランドが動く。
俺はただ、陽雅さんを見つめ続ける。
(かっこいいな…)
「恭也、そんなに見ないでよ」
「かっこよすぎて目が離せないんですもん」
「恥ずかしいじゃん。そんなに見られたら」
陽雅さんは頬を赤くしてそう言う。
(陽雅さんが照れてる…)
なんだか嬉しくて、笑みが零れてしまう。
「そんなにニヤけてどうしたの?」
「別に」
俺はそう返して笑みが零れたまま、メリーゴーランドが止まるまで陽雅さんを見つめ続けた。
メリーゴーランドから出ると、歩きながら陽雅さんが言う。
「恭也、ずっと俺の事見てたね」
「はい。白馬の王子様をこの目に焼き付けてました」
「やめてよ。王子様なんて」
照れたように言う陽雅さんに俺は少しふざけて言う。
「王子様じゃないですか。ほら、王子様。次行きますよ」
「俺が王子様なら、ちゃんとエスコートしないとね」
陽雅さんがニコッと笑う。
「えー? 俺の事エスコートしてくれるんですか?」
「まぁ、可愛いし」
そう言って再び微笑む陽雅さんから目を逸らす。
「別に可愛くはないですけど…」
「可愛いよ。恭也」
慣れたようにそう言う陽雅さんに俺は照れてしまう。
「う、うるさいです。てか、時間的に次がラストですね」
「そうだね。俺、恭也と乗りたいアトラクションあるの」
「え? なんですか?」
「あれ」
陽雅さんが示す先は観覧車だった。
「観覧車ですか?」
「うん。ほら、一応デートでしょ? 遊園地デートと言えば観覧車かなって」
(一応…か…)
少し残念に思いながらも俺は頷く。
「そうですね。じゃあ、行きましょう」
観覧車の列に並び、順番が来る。
観覧車の席に向かい合わせで座り、上昇する。
さっきまでの賑やかさが嘘かのように静かで、なんだか緊張する。
(なにか話さないと…)
「…そういえば昨日、快が零斗さんに連絡したみたいなんですけど、仲直り出来たんですかね」
「出来たと思うよ。零斗、すごい機嫌良かったし。普段やらない風呂掃除なんて始めちゃってびっくりしたよ」
「風呂掃除ですか?」
「うん。鼻歌まで歌ってさ」
「鼻歌ですか?」
「うん。鼻歌歌いながら風呂掃除。初めて見たよ」
零斗さんが鼻歌歌いながら風呂掃除なんて、想像できない。
(快に教えてあげたいな…)
「へ〜…快に言っとこうかな」
「…お友達の事、どう思ってるの?」
「え?」
「もし零斗とお友達が付き合ったら、恭也はどう思う?」
そう言う陽雅さんの顔はとても真剣そうだった。
俺は少し戸惑いながらも、正直に答える。
「どうって別に…嬉しいだけですけど」
「嫉妬とかしないの?」
「嫉妬ですか? 別にしないですね。零斗さんと付き合ったからって俺との関わりが無くなるわけではないだろうし、別にいつもと変わらないと思うので」
「へぇ〜。本当に仲良いんだね」
少し重いトーンでそう言う。
(嫉妬…?)
いや。そんな訳ない。俺はただの客だし。
でも何となく、もう快の話は続けない方がいい気がする。
そう思って俺は慌てて話題を変える。
「陽雅さんって恋人とかいるんですか?」
「え? どうしたの? 急に」
「単純に気になったので…」
「そう」
話題を変えようと勢いで聞いてしまったけど、普通に緊張する。
俺が知らないだけで恋人くらい居そうだし。
「いないよ」
その言葉を聞いて、俺は安心する。
「そうですか」
「うん。作るつもりもないし」
その言葉を聞いて、胸がぎゅっと締め付けられる。
「なんでですか?」
あんまり触れない方が良かったかもしれないけど、気づいたら聞いてしまっていた。
陽雅さんは俯いた後、答える。
「俺は恋人を作る資格なんてないから」
「…そうなんですね」
陽雅さんはそれ以上何も言わなかった。
本当はもっと詳しく知りたかった。
でも、観覧車の窓の外を見る陽雅さんの横顔がどこか寂しそうで、俺は何も聞けないまま、静かに視線を落とした。
_________
遊園地を出て、車を走らせる。
助手席に座る恭也はただ、窓の外を眺めている。
「今日は楽しめたかな?」
その問いで恭也は体を前に向ける。
「楽しかったですよ。すごく」
「そっか。良かった。俺も楽しかったよ。遊園地デート」
「そうですか」
なんだか、恭也の元気が無い。
その理由は正直、分かっていた。
でも俺は、何もかも気付かないふりをする。
だって、恭也の気持ちを認めてしまったら俺の気持ちも認めてしまいそうになるから。
俺は恭也を好きになっちゃいけない。絶対に。
「次はどこ行きたい?」
自分の気持ちを誤魔化すようにそう聞くと、恭也は考える素振りを見せたあと、笑顔で答える。
「…海とか、水族館とか、他の遊園地とか…あっ、花火も一緒に観たいですね。それと…」
恭也はそこで口を噤み、笑顔が消える。
「…まぁ、適当に遊べるところでいいです」
「そっか。分かった」
俺がそう言うと、恭也は再び窓の外に視線を戻した。
しばらく車を走らせていると、隣から寝息が聞こえてくる。
チラッと見ると、恭也は眠っていた。
俺は車を道路の端に止め、恭也の座席を倒そうとリクライニングレバーに手をかける。
座席をゆっくり倒すと、起こしてしまっていないか確認するために恭也の顔を見る。
恭也は、気持ちよさそうに眠っていた。
(遊び疲れちゃったのかな…)
愛おしく思いながらも寝顔を見つめる。
(あぁ…好きだな…)
不意にキスをしたくなり、そっと唇にキスをする。
唇が離れた瞬間、ハッとして慌てて体を戻す。
(何してんの。俺)
「ふぅ…」
そう小さく息を吐いたあと、再び車を発進させた。
家に着くと、恭也の肩をトントンと叩く。
恭也はゆっくり目を開けた。
「恭也、着いたよ」
「ん…すみません…寝ちゃってましたか…」
「大丈夫だよ。中、入ろっか」
俺の言葉に恭也が頷く。
俺の部屋に入ると、恭也はベットに座る。
「初めますか」
そう言いながら恭也はシャツを脱ぎ、ベットの端に置く。
始めはあんなに戸惑っていたのに、今となっては自分からベットに行って、服を脱ぐようになっている。
(恭也も変わったんだな…)
…いや違う。俺が変えてしまった。
あんなに純粋だった子を俺が変えてしまったんだ。
それでも俺は、恭也の気持ちに気付かないふりをして、抱き続ける。
服を脱いだ恭也の上に跨り、頬に手を触れる。
「今日もいっぱい気持ち良くしてあげるから」
そう言って微笑んだ後、唇を重ねた。
_________
眠ってしまった陽雅さんを部屋に置いて階段を降りる。
(今日はシャワー浴びたら帰ろう…)
そう思いながらリビングの扉を開ける。
ソファーには泰輝さんが座っていた。
その横には、知らない男性。
(泰輝さんのお客さんかな…)
邪魔にならないようにソファーの後ろを通り過ぎようとすると、不意に呼びかけられる。
「待って」
その声で俺は振り返る。
呼びかけたのは知らない男性だ。
顔を見ると、既視感があった。
なんだか少し、陽雅さんに似てる気がする。
彼は俺の前に立ち、俺の顔をじっと見る。
「初めまして。恭也くんだよね」
「なんで俺の事…」
「あっ…すみません。申し遅れました。俺、黒崎 陽煌っていいます」
(黒崎って…)
まさかと思っていると、彼は言葉を続ける。
「陽雅の兄です」
ニコッと微笑む彼の顔は、陽雅さんによく似ていた。
コメント
1件
うわあ…もう胸がぎゅってなったよ。観覧車で陽雅さんが「恋人を作る資格なんてない」って言ったところ、すごく気になった。何か過去があるんだろうな…。でも恭也くんがそれ以上聞けなくて、ただ静かに視線を落とすシーン、切なかった。あと、寝てる恭也くんにキスしちゃう陽雅さん!「好きだな」って内心で認めてるのに、気付かないふりしてるの、重くて苦しくて、でも好きです。最後に出てきた陽雅さんのお兄さん…!?続きが気になる…!