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──酔ってしまって眠たそうな彼女の服を脱がせて、ベッドに寝かせた。
自分も裸になり、後ろから彼女の腰に腕を巻き付けて抱き寄せる。
肩越しに首筋へ顔をうずめると、柔らかな髪がまとわりついて、仄かなシャンプーの香りが鼻先をかすめた。
うなじに口づけると、「ぅん…」と小さく彼女が喘ぐ声を上げる。
どうしようもなく好きで、このまま自分の手の中に閉じ込めておきたいとさえ思う。
自分の手の中に……そう感じていたのは、初めて誘いかけた時から同じだったと、今さらのように思い出した。
彼女のことを手に入れたくて……欲しくてたまらずに、幾度となく傷つけた。
あんな風にしか愛せなかった、あんな愛し方しか知らなかった私を、彼女は受け入れてくれた……。
「……智香」
名前を呼ぶと、切ないほどの想いが胸を込み上げた。
もう、離したくはないと……ぎゅっと両腕で抱き締めると、「んっ…痛…」と声が聞こえて、抱く腕を緩めた。
君は、私とずっと共にいてくれるのだろうか……もしも離れて行ってしまうようなことがあったら、私は……
私は…………。
そこまで考えて、だがその先に思考は及ばなかった。彼女がいなくなることなど、自分にはもう到底考えられなくなっていた……。
「君は、私の全てだ……」
もう一度その華奢な首筋に口づけて、ゆっくりと瞼を閉じた。
彼女の安らかな寝息が耳に届いて、心地のいい眠りに誘う。
抱えた腕を離せないまま、彼女の胸の辺りで両手を組み合わせ身体を引き寄せると、
規則正しい心音が触れた肌から伝わった。
目を覚ました時に隣に寄り添う暖かな温もりを感じられるのは、なんて幸せなことなのだろうと、
そんな幸福も知らずにいた自分に、ふっと気恥ずかしさを覚えるようだった……。