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色褪せる

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色褪せる

1 - 第1章

2024年04月07日

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暑い夏。頭の中で蝉の声が響く。

‪”‬私‪”‬は目が覚めると知らない場所にいた。

頭の中で流れていたはずの蝉の声は聞こえなかった。

視界に広がるその景色は実に奇妙でよくある風景のはずなのにどこか現実を感じさせないような雰囲気を纏っていた。

なぜ私はこのような場所にいるのか。

夢?誘拐?そもそも現実なのか?

様々な思考が私の脳を電撃のように駆け巡った。

私はまだ衝撃の抜けていない体を無理やり動かし立ち上がった。

私が元々倒れていた所は神社で冷静になって見渡すと目の前に真っ赤な鳥居とオレンジに色褪せた空が見えた。

この神社はかなり上の方にあり鳥居の向こうにある景色を見ると町が広がっていて町全体を見渡せた。

上から見渡しても町には人1人見当たらない。自分の周りの状況を確認し、今置かれている状況を少しでも把握できて安堵した。

その時。異変に気がついた。

おかしい。既に分かっているはずなのにおかしい。私は気づいてしまった。

どうして――――――

私の鳥居の下に‪”‬人‪”‬が立っているのだろうか。

さっきまでいなかったのに。

どうして?

誰なの?


気配がしなかった。

また電撃のように思考が駆け巡る。

悪寒がする。体が呼吸を否定する。

その‪”‬人‪”‬はニタニタ微笑みながらこっちを見つめてくる。

いや、人なのか?あの全身がガタガタと震えてくるような笑顔。あの笑顔ができるのは普通の人生を歩んできた人間では到底できない笑みだ。

怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。

逃げたい。逃げたい。逃げたい。

何されるか分からない。という恐怖が私の理性を支配し到底逃げる気力など湧かなかった。いや…‪”‬湧いてこなかった‪”‬。

その‪”‬人‪”‬は私に近づいてき、ピカピカと輝いているはずなのに錆びている包丁を取り出した。ああ、私の前に殺された人達の……と思ってしまった。尚更頭が回らなくなり頭が真っ白になった。

‪”‬殺される‪”‬

真っ白な頭の中でただそれだけの一言が浮かび上がった。

手から振り下ろされる包丁がスローモーションに見える。

ああ。私死ぬんだ。こんな意味の分からない所で。こんな意味の分からない‪”‬人‪”‬に殺されるんだ。――――――――――――。

包丁が私に当たる瞬間。

私に刺さるはずだった包丁はその‪”‬人‪”‬に刺さっていた。

真っ赤な血がその体に滲んでいく光景。

その突然の事実に驚いた。

何故?何故その‪”‬人‪”‬に刺さっているの?

私は状況が理解できなかった。

その‪”‬人‪”‬はよろめき最後にまたニタっと笑って瞬間移動するみたいに消えていった。

すると声がした。

「大丈夫?危なかったね。」

私ははっとし身構えようとしたが腰が抜けてうまく全身に力が入らない。

「そんな警戒しなくてもいいよ!私は敵じゃない。」

敵じゃない…?じゃあさっきあの‪”‬人‪”‬に包丁を刺したのは……。

「貴方なの?私を助けてくれたのは。」

「そうだよ〜!あっ、!自己紹介しないとね!!私はレイだよ!!君は?」

「私……は…………」


第1話。終わり。

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