異世界転移。
そんな言葉が、頭をよぎった。
僕の目の前には、見たこともない風景が広がっている。
鬱蒼とした森。
そこかしこに生えている木はどれも背が高く、太い幹をしていた。
枝葉の隙間からは陽光が差し込み、地面を照らしている。木漏れ日の中を、鳥たちがさえずりながら飛び交っていた。
ここは森の奥深くにある、小さな泉のほとり。
澄んだ水面には、木々の葉っぱや小動物たちの姿が映っている。
穏やかな雰囲気の中で、少女はひとりで読書をしていた。
少年が近寄ると、彼女は微笑みながら顔を上げた。
「こんにちは。あなたが私を呼び出してくれたの?」
「そうだよ」
少年はうなずいた。
「きみに会いたかったんだ」
少年の言葉に、少女は顔を赤らめた。
「おやすみ」
また明日、目覚めることができるなら。
また明日、君の声を聞くことができるなら。
ぼくはきっと、幸せだろう。
だから、おやすみ。
そして、おはよう。
おやすみ。
おやすみ。
おやすみ。
そして、さよならだ。
君の望んだとおり、すべてが終わったよ。
これが、君の物語の終わりだ。
君は、僕の物語の始まりだった。
そう、僕たちは二人でひとつさ。
だから、これからはひとりきりだよ。
僕は、どこへ行こうか……? そうだなぁ。とりあえず、あそこに行ってみようか。
そういえば、まだ行ったことがなかったんだ。
きっと、素敵な場所なんだろうな。
でも、どんなところだろう。
想像すると、ちょっと不安になってくるよ。
ま、いいや。
とにかく、行ってみることにしよう。
そして、今、ここにいる。
「私は、この世界そのものだ」
そう言って、彼は笑った。
その笑顔は、どこか寂しげだった。
「私は、この世界の管理者であり、支配者なのだよ」
この世界は、彼を頂点とするピラミッド型になっている。
彼は、この世のものではない。
この世には存在しない。
だから、誰も知らない。
この世界に、存在しないんだ。
この世には、存在しなかった。
この世界の、外にいた。
この世界の外側を歩いていた。
この世界は、彼にとっては物語だった。
この世界で、生きているように見えた。でも、本当は違った。
彼女は、知っていたんだ。
自分が、人間ではないことを。
だから、彼女だけが消えた。
他の誰も、気づかなかった。
彼女が消えても、世界は変わらない。
いつものように、今日が過ぎていく。
彼女がいなくても、明日が来る。そうやって生きていけるんだってことを、 彼女は教えてくれた。
僕には彼女が必要だった。
だけど、今は違う。
彼女と出会えたことが、僕の人生にとって必要だったかどうかなんてわからない。
ただ、僕は彼女に恋をしていた。
この気持ちだけは、本物だって言えるから。
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