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飴玉の雨の中……
甘いお菓子の世界へと誘われる……
やがて降りしきる飴玉の中に、 大きなキノコや人形たちの住む森が見えるようになる。
そこでは様々な出来事が起こり、たくさんの物語が生まれていた。
そんな森の中で見つけた、 真っ黒な傘をした女の子。
その子はおどけてみせて笑わせてくれたけど、どこか寂しげだった。
だから私は彼女に名前を尋ねたけれど、彼女は何も言わずに消えてしまった……。
また会えるかな……。
ふわりとした感覚と共に、意識が戻る……。
そこは薄暗い森の中。
でも不思議の国なんかじゃない。
ここは現実だ……。
そして私の目の前にいるのは、白い兎じゃなくて黒い猫。
だけど……やっぱり悲しそうな顔をしてる。
どうしてそんな顔しているのか気になって声をかけたら、
「あなたは……?」って訊かれた。
でも答える前に、その子は行ってしまった。
あれは一体なんだったんだろうか……。
この世界に迷い込んだとき、私は姉さんと一緒に居た。
ここはどこなのかしら? ねえ、お姉ちゃん、知ってる? 不思議の国よ! ここにいるのはみんな、わたしたちと同じ住人さ! じゃあ、どうしてそんなに小さいの? きっと縮んじゃったんだよ。まぁ、なんて素敵なの!! 早く戻らないと! そうだね! でも、どうやって戻るのかな? 大丈夫。すぐにわかるわ。だってほら―――
アリスの目に飛び込んできたのは、 血に染まった鏡だった。
そして……その中に映っているものは、 恐怖に引きつって泣き叫ぶ自分自身の顔だった。
私は……誰だ? 何故ここにいるのだ? 記憶を失った青年がいた。
彼は自分の名前すら思い出せない状態で、 見知らぬ場所にいた。
そこには誰もいなかった。
いや……一人だけ、奇妙な生き物がいるだけだった。
醜悪な怪物が一匹。
私を見つめていた。
私が何者かもわからず、どうすれば良いかもわからずに怯えているうちに、 怪物が襲いかかってきた。
振り下ろされる鉤爪が私の頭を引き裂こうとした瞬間、 私を突き飛ばしてくれたのは……私自身だった。
どうしてこんなところにいるのか分からないけど、 早くここから逃げないと殺されるぞ! 私と同じ姿をしたそいつは言った。
さあ走れ! 道なき道を駆け抜けろ! 光輝く未来へ突き進め! お前の目の前に広がる無限の可能性に向かって! たとえどんな苦難が待ち受けていようとも立ち止まることは許されないぞ! 何故ならお前は選ばれた勇者なのだからな! はっはっは! 行けぇえ!! 走れぇええ!!! 走り続けろぉおおお!!! そして俺は叫ぶのだぁああああ!! やればできるじゃないかぁああああ!! ほらいけぇえええ!! もっと速くぅうううう!! ほれみぃいいいいい!! 私より速い奴など居らぬわぁああああ!! 行くぜ行くぜ行くぜぇええええ!! 風になれぇえええええ!! お前は今まさに音速を超えたぁああああ!! ほーらどんどん加速していくぞぉおおお!! どうしたぁ!? 息が切れてきたのかぁ!? まだまだこれからだぞぉおおお!! 限界を超えて見せろぉおおお!! そらいくぞぉおおおおお!! ついて来れるものなら来てみよぉおおおお!! ほらどうしたぁああああ!! 全然遅いではないかぁああああ!!