テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ですから朋菜様は、収穫量の40%~50%を幕府に献上することになります」
「半分も?…分かったわ。でも、どうしてお米以外を栽培してはいけないの?」
「それは、田畑勝手作りの禁で定められているからです」
「そうなの……」
数日が立った。
@町
ここは村とは違い、町法で運営されている。
「ここの住民は百姓ではないの?」
「はい。ここの住民は町人と呼ばれています」
「ここでも農業とかやってる……」
「どこでも一緒ですよ」
暫く散策してみると、一風変わった建物を見つけた。
少し覗いてみると、中で誰かが何かを作っているようだった。興味を持った朋菜は、中に入ってみた。
どうやら、紙を作っているようだった。
「きれいだし、技術がすごい…」
朋菜は素直な心の声を思わず口にしていた。それに気づいた職人らしき人がこっちを見る。
「お嬢ちゃん、何か用かい?」
「あ、いえ…ただ、紙を作ってるのがすごくて…」
焦って答えていたが、職人は眉一つ変えずの反応だった。
「それ、どういう技術を使っているのですか?」
「これは流漉というものを使っているのだよ。楮を使って、和紙を作ってるんだ」
和紙とは、障子の紙部分に使われる紙である。令和時代にいた時も、朋菜はあの感覚が好きだった。あの紙はどこかすべすべしていて、書道半紙の書く方の面みたいな。
令和時代の思い出にぼんやりとふけっていると、突然何かが燃えるような音がした。
「あれは何?松前、見える?」
「あちらは、たたら精練というものです」
「何それ?」
「たたら精練とは、砂鉄と木炭をたたらという道具で燃焼させ、玉鋼を精製するという技術です」
他にも、鉱山町では大森銀山、生野銀山、院内銀山、佐渡相川金・銀山があることも松前が教えてくれた。