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あれから数年後。朋菜はもう高校を卒業するはずの18歳になっていた。
このままだと大学浪人してしまうと思っている朋菜は、元禄時代にいた。
「朋菜様。浪人といえば、17世紀中頃も、約40万人の牢人が出たそうですよ」
松前!今はシャレなんて言ってる場合じゃない!
「どうしてそうなったの?」
「1685年に、5代将軍の徳川綱吉が極端な動物愛護令として民衆の反感を買った生類憐みの令というものを出して、それに少しでも違反と疑われた者は皆、牢人として処刑されたそうです」
またもや処刑。江戸時代って、何でもかんでも処刑しすぎでしょ。
「他にも、親族が亡くなったときの忌引というものをご存じですか?」
「知ってるわよ。例えば親が死んだら1週間、祖父母が死んだら3日、それ以外は2日、とかでしょ?」
「その通りです。それらを定めた法律が、服忌令というものです」
「でも、どうしてそんな日にちを決めたのか、いまいちピンとこないんだけど」
「当時は生き物、いわば動物の死や血というのが、穢れとして忌み嫌われていたんです。これは令和でも同じですよ、朋菜様」
__ズテン
松前との会話に夢中になっていたら、地面の段差に気付かず転んでしまった。起き上がると、膝から血が出ていた。
「朋菜様!」
たまたま近くにいた庶民たちが、「穢れだ!穢れだ!」と叫びながら逃げていく。
転んでけがをしただけで、こんなに嫌がられるの…?
その時、松前が朋菜の膝に絆創膏を貼ってくれた。松前はお兄ちゃんに似てはいないが、その優しさはお兄ちゃんに似てる気がした。
「ありがとう」
朋菜は立ち上がると、松前の手を取りながら再び歩き始めた。
あれから数か月後。今日も平和な江戸ライフだ。
家屋でのんびり寛いでいると、ものすごい轟き音が響いた。
「まずい!富士山が噴火しました!」
慌てて他の住民と一緒に遠くへ逃げ、何とか生き残ることができた。
「これからどうなるの…?」
その時、ひどく慌てた様子の庶民たちが駆け寄ってきた。
「大変です!幕府が、被災地復興のために私たち庶民から国役金を徴収するそうです」
まあ…被災地復興のためなら仕方ないか。
私はその国役金を払うことにした。
数年後、富士山噴火の被災地は無事に復興した。
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