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俺様生徒会長に鳴かされて。

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俺様生徒会長に鳴かされて。

23 - Lesson6 『おまえ』を、見てるんだよ 3

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2025年01月23日

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「あーかわいくないねぇー俺が行かなきゃ優羽ちゃんの奪い合いで、おまえなんて一日ぼっち決定だろーにー」

「そ、そんなことないもんっ!優羽ちゃんと楽しくあそぶんだからっ。ね、優羽ちゃん!」

「うん。いろんなところ行こうね、寧音ちゃん」

「うんうん!あー楽しみ!だって優羽ちゃん、毎日ゆっきーと彪斗に板挟みでかわいそうなんだもんっ。その日ばかりは、ふたりのストーカーの手から解放してあげるからね…!」

なんて、和気あいあいの女どもだが、果たしてどうかな。

洸の言う通り、当日は俺と雪矢の壮絶な優羽の取り合いになるのは必至。

寧音。

そしておまえは、洸に一日中イジられるオチだ。憐れだな!

けど、それにしたって、これはなかなかのチャンスだ。

いい加減、優羽と進展したいと思っていたところだ。

この機会に優羽とふたりきりデートに持ち込んで、いいカンジになってやる。

さて、問題は…雪矢をどうにかしなきゃならないってことだが…。





そんなこんなで数日がたち、いよいよ五人でパークに出かける日になった。

天気は快晴。

抜群の行楽日和だ。

まだ人が少ないオープン間際をめがけて、松川さんが車で送ってくれた。

「みなさん、今日ばかりはお仕事のことは忘れて、ゆっくり楽しんできてくださいね」

『はーい!』

俺たち全員で出かけるということは、松川さんにも余暇が生まれるということだ。

いつも細やかに面倒みてくれてるから、松川さんこそゆっくり休んでほしいもんだ。

なんて思いながら、俺たちはパークに入場した。

湖に近づくまでは、舗装された森の中を歩くことになっている。

森の真ん中をくりぬいたように作られているため、まるで森林のトンネルの中を行くようだ。

近くに川があるのか、森の間を吹き抜けるそよ風と一緒にせせらぎも聞こえてきて、抜群のマイナスイオン効果だ。

他にも何組かの家族連れやカップルを見かけるが、誰も俺たちが芸能人だとは気づいてもいない。

普段から機械やコンクリートに囲まれた暮らしをしていて、学校に戻ったとしても、常に誰かかしらから視線をあびている俺たち。

ただ湖に向かっているだけなのに、すでに解放感と癒しを感じる。

心なしかみんなの表情も普段より柔らかくなっている気がした。

優羽はと言えば、もともと自然が好きと言うだけあって、同じように晴れやかだった。

俺はそんな優羽を見て、いっそう満足する。

ちなみに、優羽の今日のファッションだけど、寧音に見繕ってもらったのか、とんでもなく可愛かった。

パステルイエローのキャミソールの上に、裾が落ち着いたレースづかいになっている白チュニック。

大きな丸衿は、細い首筋や白い胸元をきれいに見せていて、

緩めに編んだ三つ編みがふんわりと華奢な肩にかかって、抱きしめたくなる可愛さだ。

そして、極めつけは、淡いモスグリーンの、少し長めのショートパンツ。

きっと寧音が相当ゴリ押ししたんだろう。

姿を見せた時の優羽は、ちっこい寧音の後ろにしきりに隠れようとして、かなり恥ずかしがったが、白くて細い脚は、小鳥みたいでスラリとしていてとてもきれいだった。

内気な優羽にしてはかなり大胆な格好だけど、色使いが全体的に落ち着いているから、おっとりした優羽には逆にあっていて上品な感じさえする。

寧音、おまえにしては上出来だ。

今日ばかりは褒めてやるぞ。

数分歩いたら湖が見えて、湖畔についた。

湖を囲うように、レストランや土産物屋が入ったログハウス風の建物が多く並んでいる。

どれも建物の半分が湖にせり出すような状態で作られ、湖上に伸びたテラスとテラスの間にも橋が架かり、身近に湖を感じながら移動できるようになっている。

あちこちに露店や軽食の出店があるのも、映画で出てくる海上町のような感じがして楽しかった。

『まずはボートでしょ』と、俺たちはさっそくカヌーの乗船場に向かった。

自分達で自由に乗ることもできたけど、ゆったりできるガイドつきのコースを選んで、五人で乗船した。

湖の水は透き通っていて綺麗で、時折魚まで見かけるほどで、俺たちはガキみたいにはしゃいだ。

寧音や洸も仕事でいろんな場所に行くが、ここは本当に奇麗な湖だと改めて感激している。

写真を撮りあったり景色を眺めたりして満足すると、あとはゆったりと湖上の心地よさを楽しんだ。

そうこうしているうちに、カヌーは岸にたどり着いた。

ここから下りて、森奥にある滝を見に行くことになっている。

ほんの数分歩いたところでついた滝は、イメージするほど大きくも激しくもなかったけど、それだけにすぐそばまで近付いて、を触れることができた。

小さくてもやっぱり滝と言うだけあって、水飛沫や吹き抜ける風が清々しい。

そしてなにより、水がキンとするくらい冷たい。

「彪斗くん、水がすっごく冷たいよ」

優羽が手で落ちる水を受けながらはしゃいだ声で言った。

俺もそばによって水をすくう。

「ほんと、冷たいよな。ほらっ」

「きゃ」

ちょっとからかうつもりで水をすくい投げたんだけど、思ったより量が多かった。

優羽の顔に思いっきりかかってしまい、服まで濡らしてしまった。

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