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番外編 「蒼炎とチョコと文化祭」
雄英高校・文化祭当日。
校庭には屋台が並び、笑い声と音楽が響いていた。
トガ:「見て見て~!血の色クレープ~!かわいくない!?」
ホークス:「いやそれ怖いから。普通にチョコバナナにしとけって。」
トガ:「ホークスって、つまんない~!」
そんな中、哀は模擬店の前でせっせと準備をしていた。
手には手作りのチョコレート。
湯気の上がるマグカップから、甘い香りが漂う。
哀:「よし、これで完成……。ダビ、喜んでくれるかな。」
振り返った瞬間――背後から声がした。
ダビ:「呼んだか?」
哀:「ひゃっ……! もう、いきなり来ないで!」
ダビ:「悪い。お前が可愛い顔してたから、つい見とれてた。」
哀:「も、もう……そういうの、ずるいよ。」
ダビの口元に浮かぶ、いたずらっぽい笑み。
その手には、小さな青い炎が灯っている。
哀:「……その炎、今日は優しいね。」
ダビ:「お前がいるからな。
それに――今日は特別な日だろ?」
哀:「特別?」
ダビ:「お前が俺に“初めて”チョコ渡す日だ。」
哀の頬が一瞬で赤く染まる。
哀:「ど、どうして知ってるの!?」
ダビ:「ホークスがうるさくてな。“ダビくん義理チョコもらえるかな~”とか言いやがるから。」
哀:「もう……ホークス先生……!」
そこへ、その張本人がひょいと現れる。
ホークス:「おーい、イチャついてるとこ悪いけど、ステージ準備手伝ってくれよー!」
ダビ:「断る。」
ホークス:「おい!」
トガが笑いながらクレープ片手に乱入。
トガ:「じゃあ私が代わりに手伝う~!その代わり、哀ちゃんのチョコ一口ちょうだい♡」
哀:「え、ええ!?これは……!」
ダビ:「駄目だ。それは俺のだ。」
ダビがスッと哀のチョコを奪い取り、ひとかけら口に入れる。
その瞬間、微かに笑みがこぼれた。
哀:「……どう?」
ダビ:「甘すぎる。けど、悪くねぇ。」
哀:「ふふ……よかった。」
ダビ:「次はお前にも食わせる。」
哀:「えっ?」
ダビが残ったチョコを指で掬い、彼女の唇にそっと触れた。
ほんの一瞬、周りの喧騒が遠のく。
トガ:「きゃー!青春爆発~!!」
ホークス:「おい、校内でイチャつくなーっ!」
哀とダビは顔を見合わせて笑う。
その笑顔は、あの頃の炎の中の二人とはまるで違っていた。
あたたかく、穏やかで、ちゃんと未来を見ていた。
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夕暮れ。
文化祭のステージでは、ライトが灯る。
哀がふと空を見上げると、
淡い青い炎が夜空に花のように咲いていた。
哀:「……ダビの炎だ。」
ダビ(後ろから):「見せたかったんだ。俺の炎が、もう人を傷つけないって証。」
哀:「きれい……。」
ダビ:「お前の光が、俺を変えたからな。」
二人の指が絡む。
その手の中で、青炎と光がひとつに溶けた。
ダビ:「……愛してる。」
哀:「私も。これからも、ずっと。」
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🌸 ナレーション:
「戦いのあとの日常は、穏やかで、あたたかくて。
二人の笑顔がある限り、
世界はもう、嘘に染まらない。」
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💠 番外編完:「蒼炎とチョコと文化祭」 💠
炎は愛に変わり、愛は日常に溶けた。
そして――二人の物語は、まだ続いていく。