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『…朋也。お前はいつも勝手なことばかり言うな』
社長は少し怒ってる?
そりゃそうだよ、こんな平社員の私の部屋に住むなんて…
『仕事はキチンとやります。カメラマンとしても、もっと成長したいですから。でも…将来のことも今の環境から少し抜け出して、冷静にいろいろ考えたいと…』
本宮さんは、真剣に話した。
『…森咲さんの気持ちは?』
『…あの…私は…』
そんなこと急に聞かれてもどう答えたらいいのかわからない。
『社長。とにかく家は出ます。もちろん本宮の一人息子である以上、責任は果たしたいと…思います。少し時間を下さい』
『お前は昔からそうだからな。一度言い出したら聞かない。責任を果たすということがどういうことか…少しはわかっているようで、それは安心したよ』
『父さんのことずっと尊敬してますから。でも、まだそれは…先のことだと…』
責任…って、やっぱりこの会社のあとを継ぐってことだよね?
いつか本宮さんは、文映堂の社長になるんだ…
『森咲さん。こんなワガママな息子ですが、朋也はうちの会社には無くてはならない存在です。しばらく迷惑をかけますが、どうかよろしくお願いします』
うわぁ~
本当に、本当に、嘘でしょ~?!
文映堂の将来の社長を、しばらくの間、うちで面倒見てってこと?
しかも…
結婚とかいうワードも出てきたし。
もうダメだ。
本当に私、思考回路停止だわ。
訳がわからないまま、とにかく私達はエレベーターで下に降りた。
二人とも沈黙。
何をどう理解すればいいか…
頭が回らないよ。
ミーティングルームのある階まで戻ってきた時には、立ち入っては行けない場所から、安全地帯に戻ってきたような…変な安心感に包まれた。
『恭香…とにかく、今日から頼む。帰り、一緒に帰ろう』
一緒に帰る…?
その時、私は、昨日一緒に帰った一弥先輩と菜々子先輩の後ろ姿を思い出した…
私は、一弥先輩じゃない人と自分の家に帰るんだ…
確かに、全然、まだ信じられないけど…
だけど…
社長からも直々に頼まれたんだもんね…
もう逃げられないか…って、ちょっと…観念した。