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晴明視点。
ぐっと、更に腕がきつく締まった。
「ね!晴明くん?」
『ぐぇ……』
『ちょ……朱雀……』
ぎゅっと更に腕に力を込められた。
その時。
ぐっ!
別方向から引っぱられた。
ぬらり。
ぐらっと視界がずれて
気づけば
右に学園長。
左に隊長さん。
挟まれていた。
「べたべた晴明に触ってんじゃねぇ。」
僕、庇われた。
「……へぇ?」
朱雀が、ゆっくりと首を傾けた。
さっきまでの軽快さはない。
笑ってるのに、目が暗い。
「蘆屋殿。そっちなんだ」
ぽつり、と。
静かすぎる声。
ぞく、と背筋が冷える。
二人は一歩も引かない。
「……返す気、ないんだね」
朱雀が近づく。
同時に、
隊長さんにぐっと腕を引かれた。
「当たり前でしょ」
「なんで渡さなきゃなんないの」
そのまま、ぐっと引き寄せられる。
動けない。
学園長も、もう片方の手を掴む。
「……こっち来んな」
短く、静かに拒絶。
朱雀はそれを見て、
ふっと笑った。
「……あーあ」
肩をすくめる。
「そんなに大事なんだ」
わざとらしく眉を下げる。
「でも、どうせ来るよー?」
空気が歪む。
学園長と隊長さんの顔がさらに険しくなった。
「呼ばれたら、行くし」
にこっと笑う。
「晴明くんが呼べば、いつでも行けるもん」
体が震える。
甘く囲われてるみたいな感じ。
捉えられてること、
無理やり自覚させられてる。
「だからさ」
一歩、下がる。
さっきまでの圧が、嘘みたいに引く。
「いいよ、今回は」
あっさりと。
「そっちにあげる」
その言葉に、
蘭丸の眉が動く。
学園長の指先が、わずかに強くなる。
朱雀は2人の反応に満足したのか
にやにやしてる。
「晴明くん」
「また呼んでね」
甘い声。
さっきと同じ。
「絶対、来るから」
そして、
ふわり。
火が散るみたいに、姿が崩れていく。
赤い残滓だけ残して消えた。
沈黙。
誰も、すぐには動かない。
僕だって動けない。
掴まれてるから。
「……もう呼ばないよね?」
先に口を開いたのは、隊長さんだった。
問いかけなのに、選択肢がない。
「晴明、あいつはもう呼ぶな。」
学園長に掴まれているところが痛い。
「だってさ、意味分かんないでしょ」
笑ってる。
でも、目は全然笑ってない。
「頼るなら」
「僕でいいじゃん」
そのまま、顔を近づける。
「なんでわざわざ、あんなの呼ぶの?」
頬を掴まれる。
無理やり目を合わせられる。
『…たい、ちょう……さ…』
「ん?」
遮るみたいに言う。
急かすみたいに。
「ねぇ」
静かに。
「僕だけじゃダメ?」