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鷹槻れん

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篠原愛紀
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ああ、第6話、読み終えました。ステラが全科目満点で首席、しかもジョシュアが次席——この二人の並びが掲示板に並んでる光景、いいですね。ステラが「お隣に立つ者として恥ずかしくない結果を」と胸を撫で下ろすシーンに、彼女の真摯な努力が詰まっていてじんと来ました。 そして夜会のジョシュアの独占欲……「僕の婚約者に気安く声をかけないで」の低い声、氷の視線。普段の甘さとのギャップが効いてますね。でもダンスで「隣にいてくれてありがとう」と囁くところで、ああ、この人はちゃんとステラを大切に思ってるんだなと。試験も夜会も、二人の関係性が確かに前に進んでいるのが伝わる、良いエピソードでした。
嫌がらせ事件が解決してから数ヶ月。
学院では、進級や今後の評価を大きく左右する「前期定期試験」が実施され、その結果が中央廊下の掲示板に貼り出されていた。
人だかりの向こうから、生徒たちの驚愕と感嘆の声が漏れ聞こえてくる。
「嘘でしょう……? 筆記も実技も、全科目満点……!?」
「総合首席が、ステラ・フォン・アストリア様よ!」
掲示板の最上段には、ステラの名前が燦然と輝いていた。 そしてそのすぐ下、僅か数点差の次席には、皇太子ジョシュアの名前が記されている。
「おめでとう、ステラ。まさか僕が負けるとはね。我が婚約者は、本当に優秀で誇らしいよ」
人混みを割って現れたジョシュアが、周囲の目を気にすることなく、ステラの隣に並んで嬉しそうに微笑んだ。
そのサファイアブルーの瞳は、「どうだ、僕のステラは凄いだろう」と言わんばかりの誇らしさに満ちている。
「ありがとうございます、ジョシュア様。ですが、ジョシュア様は公務でお忙しい身。私など、まだまだ及びませんわ」
ステラはいつも通り、完璧な淑女の微笑みを崩さない。
しかし、内心では「ジョシュア様のお隣に立つ者として、恥ずかしくない結果を残せた」と、小さく胸を撫で下ろしていた。
そんな二人を少し離れた場所から見守っていたシエルが、眼鏡を指で押し上げながら歩み寄ってくる。
「お前が夜遅くまで猛勉強していた成果が出たな、ステラ。……だが殿下、あまりここで妹を凝視しないでいただきたい。周囲の生徒たちが、殿下の放つ甘い気配に当てられて困惑しています」
「シエル、本当のことを言って何が悪い。僕は世界一の努力家を婚約者に持てて、今最高に幸せなんだ」
大真面目な顔で惚気けるジョシュアに、シエルは深いため息をつき、ステラはポッと頬を赤らめて視線を彷徨わせるのだった。
そして、定期試験の終了を祝う、学院主催の「初夏の社交パーティー」の夜が訪れた。
会場である大舞踏会は、華やかなドレスや礼服に身を包んだ貴族の子息令嬢たちで埋め尽くされている。
その中でも、一際大きな歓声とため息を集めていたのは、やはりステラだった。
今夜の彼女は、ジョシュアの瞳と同じサファイアブルーの最高級シルクドレスを纏っている。
プラチナブロンドの髪を美しく結い上げ、洗練された所作で歩く姿は、まさに誰もが手を伸ばせない「王国の至宝」そのものだった。
「ステラ様、今宵の一曲目を、ぜひ僕と――」
「私と踊っていただけませんか、アストリア令嬢」
ジョシュアが国王陛下への挨拶で一時的に席を外した隙を狙い、他国の留学生や高位貴族の跡取りたちが、こぞってステラに群がってきた。
ステラは困惑しつつも、淑女としての礼儀を保ち、相手を傷つけないよう慎重に言葉を選ぼうとする。
「お誘いは大変光栄に存じます。ですが、私には――」
「――僕という、絶対の婚約者がいるのだが?」
低く、地を這うような冷徹な声が、群がる男たちの背後から響いた。
一瞬にして周囲の空気が凍りつく。
戻ってきたジョシュアは、氷の如き鋭い視線で男たちを圧すると、迷いのない足取りでステラの元へと歩み寄った。
そして、周囲に見せつけるように、彼女の細い腰をぐっと我が物顔で引き寄せた。
「ジョ、ジョシュア殿下……!」
「僕の婚約者に、気安く声をかけないで頂きたい。彼女の今夜のダンスは、最初から最後まで、全て僕のものだ」
圧倒的な覇気と独占欲を隠そうともしない皇太子の姿に、群がっていた男たちは青ざめ、蜘蛛の子を散らすように退散していった。
「もう……ジョシュア様。皆様、ご挨拶をしようとされただけですわ。少し大袈裟ではございませんか?」
ステラは真っ赤になりながらも、腰に回された彼の腕の強さに、胸をトクンと高鳴らせる。
「大袈裟なものか。君が綺麗すぎるのが悪いんだ。……さあ、行こう。僕たちのワルツだ」
ジョシュアは優しくステラの手を取り、誰もが見惚れるダンスフロアの中央へと彼女を導いた。
音楽が流れ始めると、二人の呼吸は完璧に重なり、まるで世界に二人しかいないかのような、美しく甘い時間が流れていく。
「ステラ。 僕の隣にいてくれて、ありがとう」
「これからも……ずっと、ジョシュア様のお隣にいますわ」
試験の結果でも、社交の場でも、完璧にジョシュアを支え、相応しい姿を見せたステラ。
そんな彼女への愛しさが限界を迎えたジョシュアは、ダンスの最中、周囲から見えない角度で、ステラの指先にそっと熱いキスを落とすのだった。