テラーノベル
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「嫌って、何が…何の話?」
「俺が話したいことの話」
恐る恐る問いかけると、そんな答えが返ってきた。
そうだ。そもそも佐久間くんの家に来たのは、話したいことがあるって言われたからで。
だからって、嫌だって何? 話の内容が掴めなくて困惑する。
「蓮はさ、モテるだろ。俺と違って恋愛的な意味で。それが嫌で仕方ないんだ。でも、一番嫌なのはそんなことを考えちゃう自分なんだけど」
そこまで言って顔を上げた佐久間くんの目が、少し濡れてることに気付く。
潤みを帯びた大きな目があまりに綺麗で、触れたくなる衝動を必死に抑え込んだ。
「蓮が人気者になるのは嬉しい。みんなに見てもらって、みんなに知ってもらってどんどんすごくなる蓮を見るのが嬉しい。でも、同じくらい苦しくなる」
「苦しく…?」
「うん。苦しい。俺だけが知ってる蓮が減っていくのが、苦しい」
今にも泣き出しそうな目をして、佐久間くんが言う。
それは、どういう意味なの。
メンバー愛の強い人だから、単純に寂しいとかそういう話?
話の核心が掴めない。というか、都合良く勘違いしそうになる。
佐久間くんが俺を、なんて。そんなことあるわけないのに。
「ごめん、こんなこと言われたって困るよな。でももう、ずっと苦しくて…それなら最後に伝えて終わりにした方がいいって思ったから」
「ちょっと待って。俺まだ何にも理解出来てないのに、何を終わらせようとしてるの? ちゃんと教えてよ」
「うん、でもさ。言ったところでなぁって今ちょっと思ってる」
「そんなの、言ってくれなきゃ分からない」
「阿部ちゃんと同じようなこと言うのな、お前」
泣き笑いみたいな顔で俺を見ながら、何かを終わらせようとしてる佐久間くん。
何だか胸がざわざわして、意味が分からないままだけど必死に引き止めた。
でも、次に放たれた佐久間くんの一言で身体が固まる。
「でもさ、言ったからって蓮が俺のこと好きになるわけじゃないだろ」
何言ってるの、この人。
好きだよ。もうずっと、何年も一目惚れし続けるくらい、佐久間くんしか見えてないよ!
俺の心を何度も何度も奪っておいて、何にも自覚してないの?
でも、そうだ。
俺も何も言わなかった。最初から伝えることを諦めて、この恋と心中しようとすら思ってたのは、俺だ。
佐久間くんがどういう気持ちから言ってるかなんて分からないけど。
それでも。チャンスは掴みに行くのが俺だから。
大きく息を吸って、声を絞り出した。
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