「あははぁ〜楽しいねぇ?」
あれから数十分。他に頼れる仲間もいなければ、日の出を望むことも出来ない。ベリアン達に頼べば共に戦ってくれるでしょうが、ベリアン達は日輪刀を所持しておらず、討伐は難しい。それに、あいつはムカつくことに私を殺そうとしていない。あいつはただ、この遊びを楽しんでるだけです。
「手加減してくれるなんてお優しいのですね?随分とまあ舐められたものです」
「そんな事ないよ?君は雷の使い手でもないのにそれ以上に早いから追うのが大変だよぉ。しかも普通ぅ、不意をつく為に後ろに行くでしょぉ?そう思ったら真正面から来るんだもん、ホント水雫ちゃんって面白いねぇ」
「戦い方に普通もなにもないです」
「あははっ、確かにぃ〜!」
特にこれといった能力を持ち合わせていないのにあの目と頭脳が本当に厄介ですね…速さであいつを上回っても予測でその隙間を埋める。隙を作る為刀で何度攻撃してもあいつの扇子で弾き返されてしまいますし、まずはあいつの手を切り落として武器を奪えば、あいつが攻撃する手段が無くなりますが……そうさせてくれる程の隙がないんですよね。こうして私が必死になっている今でも、あいつは笑みを絶やさない。余裕の現れという事ですかね
「主様っ…!」
「こうして見てるしか出来ないなんて…」
「………。俺は、主様を信じる」
「主様は俺達の中で一番強いんだ。大丈夫だ」
私の大切な人。私の宝物。私の家族。1度、全て失ってしまったけれど。それでも、新しい私の家族をまた失う訳にはいかない。私はもう、あんな思いをしたくない。その為に、私は目の前の鬼を殺さなくてはならない
「ふぅん…水雫ちゃんの一番大切なのはこいつらなんだねぇ…?面白くないなぁ。」
「貴方がどう思うかなどどうでもいいのですよ。殺したければ私を殺すがいい。殺せるものなら、ですが」
「あはっ、水雫ちゃん僕の事1回殺してるもんねぇ!」
カン、カキンと硬いもの同士がぶつかり合う音が響く。数時間に渡り戦闘をしていますが、いくら体力自慢と言えど流石に疲れてまいりました。はぁ、と浅く息を吐き、体制を整える。
「そろそろ僕からも攻撃するねぇ。あ、大丈夫大丈夫!ちゃんと手加減するしぃ殺さないから〜!」
「ならそのまま殺すのみです」
あいつは手首を振り、閉じていた扇子をパッと広げる。あの扇子は童磨から貰ったものらしく、とても硬いもので作られているらしいのですが、扇子の先はとても鋭く、刃物と同じように人を切れる。(あいつはベラベラと喋るのが好きらしく、こちらが聞いていない事まで言ってくる為知りました。)
「…るーるーる…るぅるるー、るー…」
あいつは手に持った扇子をまるで舞を踊るように振るい、斬撃を繰り出す。下手な舞なら鼻で笑うところですが、一つ一つの所作が美しく、月の下で踊るあいつは他どんな所でも舞台にしてしまう。あいつは普段村を襲ったりはせず、舞を踊り人々を引き付け、相手が魅入っている所を狙い殺す。
「数が多い…!」
“舞台”で踊るあいつと私には距離があり、近かずこうにも近付けない。観客である私は舞台の上で踊るあいつには届かないと言う様にその距離は徐々に広がっていく。考えろ、考えろ。何故私はあの時あいつに手が届いたのか、何故あいつに勝てたのか。何故、何故__それは、私も舞台へ立ったからです。あいつの舞台へ行けないのなら、私の舞台にすればいい。そうしてあの時私は仇討ちを出来たのですから。
「ん〜…ああ、そっかぁ。なんか前より弱いな〜って思ってたけどぉ、そいつらが原因かぁ」
「ベリアン達は関係ありません。私が弱くなっただけです。それより、1人で踊るのなんて退屈しません?」
「なぁにぃ、一緒に踊ってくれるの〜?」
「ええ。最後の舞台にしてあげますよ」
踊りましょうか。貴方を殺すまで。
踊り合いましょう。日が昇るまで。
よくある仇討ちの物語を終わらす為に。
憎んだ相手は、自身の兄だなんて言う、在り来りな物語を終わらす為に。
やべぇ童磨とキャラが被る被る……つか長ぇ…強引な感じで終わらせました。すんません。だって長いんだもん!!!永遠に続いちゃうじゃん!!!!
【キャラ設定】
名前:胡雨 水雫(こさめ みな)
性格:穏やかで敬語がデフォ。自己犠牲の塊
家族:母、父、兄
呼吸:水、霞
階級:申。お館様から柱にならないかと提案されたが、既に水柱がいる為辞退した。
「雅呑兄さん!私も兄さんみたく踊りたいです!」
名前:胡雨 雅呑(こさめ みやの)
性格:優しいが、どこか掴み所のない人。
家族:母、父、妹
強さ:元下弦ノ鬼。上弦ノ鬼にも匹敵するが席が埋まっていた為下弦に留まっている。
「あははっ!水雫と一緒に踊るの、楽しいなぁ。」
コメント
6件
フォロー失礼します!
2人は兄妹だったんだ!? ( '-' )スゥーッ↑一応言っておくね? 苗字2人とも読み方チガウヨ…? うん、(´∩ω∩;);););)ミテナイ ミテナイ
続き書いてくれた〜ありがとうです〜!応援してます〜