テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

俺の相棒

一覧ページ

「俺の相棒」のメインビジュアル

俺の相棒

2 - 「驚いたのは俺達じゃなくて泥棒の方っていう」

♥

30

2025年09月26日

シェアするシェアする
報告する

ニューヨークの夜。アパートの一室で、エディ・ブロックはパソコンに向かっていた。

机の上には取材メモ、コーヒーの空きマグ、そして冷めたピザの箱。


「……よし、もう少しで記事になる」

独り言のように呟きながら、キーボードを叩く。


だが、その集中を妨げるように、頭の奥からぬるりとした声が響いた。

「エディィィ……チョコレートが欲しい」


「今は我慢しろ」

「我慢できない。お前の集中力を高めるためにも必要だ」

「どこの医学論文にそんなこと書いてあるんだよ」


ヴェノムの黒い触手が伸び、冷蔵庫の扉を勝手に開ける。

中からチョコバーをつかみ取り、にやりと牙を剥いて囓った。


「ん~~~、至福だ!」

「おい、俺の夜食だぞ!」

「俺たちの、だろう?」


エディが立ち上がろうとしたその時――。

窓の外で、金属が擦れるような音がした。


「……ん?」

エディが眉をひそめ、窓をのぞき込む。

そこには黒い影が。マスクをかぶった男がナイフを手に、窓をこじ開けようとしていた。


「泥棒かよ……!」

エディが小声で呟くと同時に、ヴェノムの影がぞわりと背後から溢れ出す。


「エディ。出番だな」

「……なるべく穏便にだぞ。絶対に食べるなよ」

「約束はできん」


次の瞬間、窓が開いた。

男が部屋に足を踏み入れる――その目の前で、闇が爆発するように広がった。


巨大な白い目。鋭い牙。

ヴェノムが部屋いっぱいに現れ、低い声で唸る。


「よくもエディの部屋に入ったなァ……!」


「ひっ……ひぃぃ!」

男は腰を抜かし、ナイフを取り落とした。


エディは慌てて制止する。

「やめろヴェノム! 脅かすだけでいい!」

「俺は腹が減っている」

「チョコ食っただろうが!」


部屋に響くエディの声。

ヴェノムは大きく口を開き、今にも男を飲み込みそうな気配を見せる。

男は恐怖に耐えきれず、窓から転げ落ちるように逃げ出した。

悲鳴と共に路地裏へ消えていく。


沈黙が戻る。

エディは頭を押さえて深いため息をついた。


「……ったく。お前はやりすぎなんだよ」

「だが守った。俺のおかげで無傷だ」

「……それは認めるけどな」


エディはソファに戻り、机の上のコーヒーを口に含んだ。

苦い味が広がる。

一方でヴェノムは、冷蔵庫を再び開けて中を物色している。


「チョコは……もう無いな」

「そりゃそうだ。全部お前が食ったんだ」

「ならば……アイスだ」

「やめろ! それは俺が楽しみに取っておいたんだ!」


冷蔵庫の前でもみ合う二人(?)。

真剣に記事を書いていたはずの夜は、結局いつもの騒がしい日常に戻っていく。


だが、エディは心のどこかで安堵していた。

さっきの泥棒事件。ヴェノムがいなければ危なかったのも事実だ。

そして、守ってくれる“相棒”が今もここにいる。


「……ほんと、お前ってやつは」

呆れたように呟きながらも、エディの口元には小さな笑みが浮かんでいた。

loading

この作品はいかがでしたか?

30

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚