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2話 父モ祓い屋
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数日後
私「 じゃあ、行ってくるね 」
祖母「 行ってらっしゃい、伊吹 」
祖母と挨拶を終え、私は和田さんの車に乗った
サイドミラー越しに見えたのは深々とお辞儀をしている祖母の姿だった。
和田「 それじゃ、行こうか 」
私「 はい 」
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和田さんは熊本県に住んでおり、私は和田さんの家に居候するという形らしい
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私( あれ、空港かな )
和田「 飛行機は初めてかい? 」
私「 はい、初めてです 」
和田「 そうか 」
和田「 ….君は妖が視えるんだよね 」
私( いきなりの質問…. )
美凰『 真面目に答えるなよ 小娘 』
私「 うわぁ!! 」
和田「 !!?? 」
和田「 ど、どうしたんだい? 」
私「 い、いえ、何でも 」
私( び、びっくりした ….今のなに? )
美凰『 オマエの脳に直接話しかけている 』
私『そ、そんな事できるの?』
美凰『 私にかかれば簡単な事だ 』
和田「 伊吹さん?」
私「 ….和田さんこそ、祓い屋ですよね? 」
和田「 !! ….驚いた、いつ気付いたんだい? 」
私「 さ、さぁ 」
和田「 さすが道春さんの娘さんだ 」
私「 え?それって…. 」
和田「 君のお父様も祓い屋だったのだよ 」
私「!」
和田「 彼も君のようにとても妖力の強い方でね、何度か助けてもらったことがあるんだ 」
和田「 君もお父様のようになれるよ、必ず 」
私「 私、祓い屋になるとは一言も言っていません 」
キキッ
彼は突然、急ブレーキをかけた
和田「 まさか、君は羽澄さんから何も聞いてないのかい? 」
私「 ? 」
和田「 まぁ、問題は無いか ….さ、降りなさい 」
私「 待って下さい、祓い屋ってどういうことですか! 」
和田「 “ 君を居候させてくれるのならば、祓い屋として育てても構わない ” と羽澄さんから話を持ちかけられた 」
私「 そんな話聞いてません、帰ります 」
私「 おばあちゃんと話し合いをさせてください 」
和田「 ….そうか、君は自ら進んで羽澄さんの負担へなりにいくのか 」
和田「 羽澄さんは今日から入院予定だというのに 」
私「 !! 」
和田「 よく考えなさい、君はまだ幼いのだから 」
私「 …. 」
和田「 さぁ、行こう。搭乗時間に遅れてしまう 」
言葉が出ない
美凰『 我がこの男、殺してやろうか?』
私『 何を言っているの?』
美凰『 オマエ、震えているぞ 』
私『 ….大丈夫、すぐに収まるから 』
美凰『 フン、つまらんな 』
私『 私はおばあちゃんの負担になりたくない 』
私『 ….ッ 』
美凰『 ハ ッ、人間とはよく分からぬ 』
私『 そうだね、私もだよ 』
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和田「 君は窓側の席を。どうせなら景色を見ておくといい 」
私「 ? 」
私は窓を覗き込んだ
私「 わぁ、」
私『 美凰 見てよ、とても綺麗 』
美凰『 そうか?普通だろう 』
私『 ふ ~ ん 』
私『 ….私、旅行とか行ったことないんだ 』
美凰『 ? 』
私『 お母さんは私が小さい頃に亡くなって、お父さんは家にあまり帰ってこなかった。….両親の顔が分からないの 』
私『 お墓参りも全然行けてなかったなぁ 』
美凰『 悲しいのか?』
私『 悲しくはないよ、ただ何だろうね』
私『 分かんないや、ごめん忘れて 』
美凰『 妖は弱った心を好む 』
私『 え?』
美凰『 気を緩めるなよ 伊吹。今のオマエでは喰われてしまう 』
私『 ….うん、気をつける 』
[ 間もなく着陸に入ります、⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ]
私( 弱った心を好む、か )
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和田「 車を待たせてある、行こう 」
私「 ….はい 」
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和田家
和田「 さ、ここが私の家だ 」
私「 …. 」
私( 家と言うよりかは ….屋敷?)
私「 お、お邪魔します 」
和田「 ?….ここへは “ ただいま ” でいいのだよ 」
私「 ….はい、ただいま 」
和田「 明日、祓い屋の会合があるんだ。君も参加しなさい 」
私「 え….? 」
私「 私にはまだ、早すぎませんか? 」
和田「 ….少しでも慣れておくことが重要だ 」
和田「 君は必ずトップの祓い屋になれるよ 」
私「 ….はい、分かりました 」
和田「 この階段を上がって右奥が君の部屋だ、荷物はそこに置いてあるから好きに使いなさい 」
和田「 書物はその隣の部屋にあるから時間がある時は読んでおくように。」
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ガラッ
私「 わ、広い 」
私『 ねぇ美凰、荷解き手伝ってよ 』
美凰 『 何故 手伝う必要がある?』
私『 隣の部屋に行ってみたいの。お願い 』
美凰『 …. 』
その一瞬 私に強い風が吹き、目を開けるとそこには美凰がいた
美凰 「 全く、少しだけだ 」
私「 やっぱり美凰は綺麗ね クスッ、ありがとう 」
美凰 「 フン ッ 」
・
・
・
私「 ほぼ終わり、かな 」
美凰 「 オマエ、我が手伝う必要もない量だったではないか 」
私「 うん、美凰の姿が見たかっただけ 」
美凰 「 …. 」
美凰 「 我に情など持つなよ、伊吹 」
私「?」
美凰 「いや、何でもない クスッ 」
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九州 熊本の地に降りた伊吹
父が祓い屋とだったという事実を知った今、
彼女は何を思うのか__?
最期、美凰の言葉の意味は__?
明日の会合へ続く。
next*