テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
俺はこういう性格だ。怠け者ので面倒くさがり屋。
全てにおいて「どうでもいい。」「なんでもいい。」
それについて怒られたとしても仕方ないと思ってる。
でも俺は俺なんだ。他の誰にも変わる事は出来ない。
だから俺はそう言った。すると彼女は言ったんだ。
「……貴方は、この世界を救いたいのですか?」
「救う? 世界を救うってどういう事だよ?」
「そのままの意味です。魔王を倒した後、世界には平和が訪れるでしょう。その時、貴方は一体どうやって生きていくのですか?」
俺は怠け者なんだ。世界を救う気なんかさらさらない。
魔王を倒す?世界を救う?
俺に出来ると思っているのかこの女。
俺は一応勇者という職業だが、
世界を救うも何も俺にはそんな気は無い。
なのにこの女、そんな事も知らずに言いやがって。
俺の性格を知らないからそんな事が言えるんだ。
「知らねぇよ。俺みたいな奴が世界を救ったところで何になるんだよ。そもそも俺に何かメリットがあるわけじゃねーしな。そんな事をする必要なんてあるか?」
「………………。」
その言葉を聞いた瞬間、彼女の表情が変わった。
そして彼女は……
殴った。俺を。あまり痛くは無かった。でも傷はついた。
痛い。これが痛みというものなのか。
殴られた頬を抑えながら彼女に問う。
「いきなり何をするんだ!」
「貴方はそれでも勇者なんですか! 世界の為に戦うべきじゃないんですか!?」
彼女が言っている意味が全く理解出来なかった。
何故こんなにも怒っているのかも分からない。
勇者だから世界を救う?笑わせるな。
そんなの勇者という人権を乱用した労働じゃないか。
そんなもの、とオレはそう思った。
気付いた俺はギルドへと走り出していた。
後ろで女が何か言っているが気にしない。ギルドについた俺は受付の上に勇者の印であるブローチを叩き付けていた。
受付にいたエルフ族の奴が驚いたように目を丸くしたように言った。
「高尚なる勇者様。どうかされましたでしょうか?勇者証の返還でしたら、こちらの書類を…」
「黙れ。俺は今すぐ返還したいんだ。俺は勇者。そうだよな?なら言葉遣いの1つや2つ位もっと丁寧に出来ねぇの?」少しイライラしていた俺はキツイ言葉をかけてしまった。まぁ別に良いだろう。
もう此処に来ることは二度と無いのだし。
「えっと……あの……」
「早くしろよ!! 俺は忙しいんだよ!!」
「ひっ! は、はい!」
受付嬢は急いで書類を出してきた。それを乱暴に奪い取り、適当にサインした。
内容などほぼ見ていなかった。それをまた乱暴に受付嬢に返し、勇者証の返還は終わった。
俺はほっとしていた。これでもう、パーティーを組んで魔物討伐に行く必要も無い。
勇者になり始めた頃の俺はとにかく頑張ろうとして我武者羅に走ってた。それが段々と苦になってきた。
そしていつの日か、魔物討伐や自分より強くなっていくパーティーの仲間達に嫌気が指してきた。
もういい。今日の事は忘れてしまおう。
「ふぅ……。」
俺は深いため息をつくと、宿に戻った。
____________END