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「うるさい!!!」
流れる沈黙。
私の名前は花美 夏奈。
普通に生きたい。日々そんなふうに思って、そんなふうに過ごしている。
なんて、都合よくはいかない。
「私の人生なんだから私の好きにさせてよ!」
「あのね!私は花美の事を思って…!」
「そうだよ…!心配して言ってるのに、花美さん、酷いよ…!!」
「もう行こ!花見なんか気にしなくていいよ!」
うるさいな。
なにが”心配”だよ。
私の事なんか、知りもしないくせに語りやがって。分かりもしないくせに綺麗事言って。
何がしたいの?
この世は綺麗事でできている。
「大丈夫だよ」とか「頑張って」とか
他人事ばっか言って、そんな言葉で私が簡単に救われるとでも思った?
「ただいま。」
誰も居ないリビング。
私は両親が居ない。
「夏奈ー?もうすぐ家着くよー」
「はいはい、お母さん、お父さん」
「久しぶりに旅行に行ったなぁ」
「そうねー、疲れたわ」
「帰ったらゆっくり休みたいねー」
そんな会話をしていた時
大きな音が響き渡った
「夏奈、ごめんね────。」
「お母さん!お父さん!起きて!!」
私が中3の頃、親は交通事故で亡くなった。
そのせいで、私の人生は大きく変わった。
その私の姿はまるで、シンデレラのようだ。
時が過ぎて、
誰からも愛されない、
地味で灰をかぶる女の子。
まさに私だ。
だけど。
私はシンデレラみたいに、運命の人には出会えない。可愛くもなれない。
なら、このまま消えちゃいたい。
私は人間不信になった。
そのせいで誰に対してもキツく当たってしまって、誰に対しても避けてしまう。
そんな時、クラスメイトは私を心配してた。
「花美さん、大丈夫?困ったとき、いつでも言ってね」
そんなふうに言ってくれた。
「実は───ってことがあって…困ってるんだけど…どうすればいいかな…」
「うーんと…ご、ごめん。私、わかんない…」
なんでも言ってねって言ったのは、
誰だったっけ。
助けてあげるって言ったくせに、いざとなったら助けない。ふざけるな。この嘘つき。
もう、いい?
消えても、いい?
ねぇ、神様。…お母さん、お父さん。
もう、嫌なんだよ。
消えちゃいたいんだよ。
誰も分かってくれない。
私の事なんか、誰も助けてくれない。
楽になっても、いい?
今日で終われる。
こんなバカバカしい世界から、消えられる。
そう思うと、少し、怖くなってくるような、楽になれるような。
なんとも言えない感情が、押し寄せてくる。
私は屋上に来た。
この景色が見れるのも、これで最後か。
来世は、愛される子に、
生まれられますように。
もう、疲れたんだ。
「お母さん、お父さん。ごめんね。」
そうして私、花美 夏奈は
この汚れた世界から消える事を選んだ。
END