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地下ライブハウス特有の、カビ臭さと熱気が混じった空気。
パイプ椅子がぎっしり並んだ会場で、私のブランドスーツは明らかに浮いていた。
「……何やってんだろ、私」
仕事帰りの会社員もいるけれど、ほとんどは大学生や熱心なファンらしい女の子たち。
みんな期待に満ちた顔で、小さなステージを見つめている。
私はバッグをぎゅっと抱え直して、一番後ろの席に腰を下ろした。
その時、出囃子のロック音楽が爆音で鳴り響いた。
「はいどーもー! 逆転サヨナラです!」
勢いよく飛び出してきたのは、紛れもなく光だった。
アパートで見せる、あのやる気のないジャージ姿じゃない。
安いけれどシワひとつないスーツを着て、照明を浴びたあいつは、驚くほど「主役」の顔をしていた。