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何故私が愛を知れば呪いから解放されると知っているのか。何故私が日本に1人、呪いの効果を受けない人がいると知っているのか。それは今の私が始まり、本当の私が死んだ日まで遡る。
「お母様!」
「どうしたの恭子?」
「お手洗い行きたい!!」
「しーっ、、女の子が大きな声でそんなこと言わないの。」
まだ私が7歳ぐらいの頃だっただろうか。父の仕事関係や血縁の人たちが集まり、人脈を広げる会だった。それは私の小学校の入学会も兼ねており血縁の人たちは私のことをとても可愛がった。
「でも、、トイレェ」
私が消えそうな声で訴えかける。とても綺麗な純白のドレスのスカートを上から抑え、今にも出るとアピールする。
「分かったわ。一緒に行きましょう。」
長く黒い髪を流し、そっと立つと私の手を引き、母は会場の扉を抜けトイレまで案内してくれた。
「帰り方は分かる?」
「うん!」
「早く戻ってくるのよ。お母さん、お父さんと話があるからね。」
そう言って母は私の髪を撫で、笑顔でそう言った。私がトイレを済ませると会場を出てすぐの薄暗い廊下で体育座りをしている2歳くらい年下の男の子がいた。
「どうしたの?」
「うぅっ、、お姉ちゃんと逸れちゃったぁ、、ううっ、、」
「男の子が泣かないの!私が探してあげるから!」
私はそう言ってその子のお姉ちゃんを一緒に探した。その男の子はと言うと父の経営する大きな会社の課長の子供らしく、そのような父繋がりの子供はちらほらといた気がする。
「もぉー何処行ってたのよ!」
男の子をお姉ちゃんに届けた後、母の所へ戻ると少し強く叱られた。
「そんなに怒らなくても良いじゃない。ねぇ」そう言って私に近寄ったのは父側のおばあちゃんだった。
「うん!おばあちゃん好き!」 そう言ってハグをしながら頬と頬を擦り合わせた。
その時だった。おばあちゃんが急に倒れてしまった。その後のことはショックであまり覚えていない。何が起きたか分からず立ち尽くしているとぼんやりと声が聞こえて来た。
それが
「私が呪いにかかったこと」
「本当の愛を知れば呪いが解けること」
「日本に1人呪いのかからない人がいること」だった。その声が誰かは分からない。でもその声と内容だけは今も鮮明に思い出せる。
あの頃の私たち3人はとても仲が良かった。父は仕事で忙しいが休みの日は色々なところに連れて行ってくれたし、母も一緒に遊んでくれたりした。でもあの日から父は私から距離を置き、母を私から引き離した。母も呪いの影響で病弱になり、とうとう父は私に対して「産まなければ良かった」と、そう言い放った。