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sideメフィーネ
私の名はメフィーネ…
いいえ、”氷妃メフィーネ”と言った方が分かりやすいかしら?
そう、私は魔導三神の1人だった。
もう1人の魔導三神であるゼルゼディスを訪ねてわざわざ遠方からやってきたのに、彼は既に結婚していた。
私とゼルゼディスは元セフレだった。
たまに会っては情事だけを繰り返す、そんな関係…
ずっと前から、ゼルゼディスに心に決めた人が居るのは知っていた。
だけど、コレぇ…?
顔立ちは悪く無いのだが、髪はオイル不足なのか、艶を失い、ボサボサで、後ろで一つに括っているだけだ。
顔は乾燥しており、化粧もかろうじてしているのか分からないけれど、ほぼすっぴんである。
田舎臭い芋女。
それが私の印象だった。
彼女は卵焼きを少しだけ食べると、フォークを止めた。
きっと私の事が…
いいえ、私とゼルゼディスの事が気に掛かっているに違いない。
私は少しだけ意地悪な気持ちになった。
ゼルゼディスが飲み物を取ってくると、席を立ったのを見計らい、エシャロットにこう囁いたのだ。
「ねぇ?
知ってるぅ?
ゼルゼディスってば、寝室のベッドの側にパキラっていう観葉植物を置いてるでしょぉ?
アレに話しかけながら、水をあげるのが癒しなんですってぇー!
もー笑っちゃうわよねぇ!
子供みたいな所あるのよ。
ねっ、エシャロットさん?」
私は言った。
多少わざとらしくなったかもしれないが、まぁいいだろう。
エシャロットは愛想笑いしながら、真っ青になっていた。
すると、ゼルゼディスが戻ってきた。
「おや、何の話ですか?」
「あらぁ、もちろん、居ない人の悪口よぉ!」
私は冗談で返す。
そして、卵焼きをたらふく食べ(私はねぇ)、私たちはゼルゼディスの屋敷へと帰っていった。
ほんの意地悪のつもりだった。
だって…
私もゼルゼディスの事を好きだったから…
だけど、心に決めた人が居ると知って、それを言う事は…
結局最後まで出来なかったようね…
我ながら情け無い女だわぁ。
だから、エシャロットを見るゼルゼディスの愛おしそうな顔を見ると、無性に腹が立ったのだ。
だけど…
この恋はもうおしまいね。
あんな顔、私の時には見せてくれなかった…
ゼルゼディスは本気でエシャロットを愛している。
私はその日の夜中に、氷竜に乗ってゼルゼディスの屋敷を後にした。
少しの意地悪くらいは大目に見てよね、ゼルゼディスくん。
いいえ、闇鬼のゼルゼディス…
私は決して後ろを振り返らずに、夜の空を飛んでいった。
どこかに良い男居ないかしらねぇ…?
そんな事を思いながら…
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