テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
3月27日(土曜日)成阪高校後期合否発表。
4083番宮野魁。
「行くよ。魁ちゃん」
「待って待って待って。まだ心の準備が…」
「じれったいな。早くしろ」
「ちょっと柊磨!」
「ごうかく…」
「合格だね」
「合格だな」
「やった…合格だ。合格だよ!」
「良かった…!」
無事、高校入学を果たした。
「入学式、俺達も行くからね」
「しっかりやってこい!」
「うん。いってきます!」
2人に見送られながら学校へ向かう。その距離徒歩10分。近場だから成阪を選んだ。
学校へ近づくに連れ、生徒の数が多くなってきた。同じ制服を着た人が何人もいる事に、中学の頃を思い出す。そして、あの頃の記憶も。
「大丈夫大丈夫…絶対大丈夫。みんな知らない人だし、明るい人ってイメージで…!」
「ちょっと君」
メガネをかけた男の人に声をかけられびっくりする。振り返ると、何やら不機嫌なのか眉間がよっていた。
「新入生だね。これを持っていけ」
そう言われ渡されたのは校内の構図が書いてある紙だった。親切だとわかり安堵する。
「ありがとうございます」
「入学おめでとう」
顔は怖い人だけどとっても気遣いができる人だ。柊磨の面影を感じる。でも、柊磨とは違い服装はキッチリとして、髪の毛も柊磨の金とは真反対の真っ黒だ。
「クラス編成ってクラス多いな」
中学の頃とは違って高校は1学年6クラスもあった。どうやらそれが当たり前らしい。
私のクラス、1年4組の教室の前へ立つ。緊張で息ができているかわからない。すると、女の子が声をかけてきた。
「大丈夫?」
声の主を見ると、私を心配そうに見つめていた。天パなのか、茶髪がふわふわとしている。私を見つめる目は綺麗な緑色だ。
「えっと…」
「私も同じクラス。矢子瑠々だよ」
矢子瑠々と名乗ったその子は、私と一緒に教室へ入った。ごく自然に、道を歩くように。
「私、宮野魁。よろしく」
「魁!かっこいい名前だねぇ。私のことはやっちゃんって呼んで。よろしく」
私の高校生活が始まった。