テラーノベル
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「私たち150名はこの学び舎で仲間と共に学び育つことを宣言します」
入学式で新入生代表がそう宣言した。私はこれからちゃんと学校に行けるのか不安で仕方がない。けど、それでも前に進まなければならないんだ。
「魁知ってる?新入生代表って入試トップで受かった人なんだって」
「えっ、すご」
隣にいたやっちゃんが教えてくれる。新入生代表の人の名前は確か。
「新入生代表、新海那津」
センターパートに分けた髪はさららとなびいて、歩いてるその佇まいからはモデルのような印象を与えられる。小顔で足が長い。おそらく1番この学年でイケメンな人だろう。
「イケメンで成績優秀って…」
「できすぎてるよねぇ。私なんて入試ギリギリ」
「私もだよ」
二人でそんなことを喋っていると、いつの間にか入学式は終わっていた。新入生は下校らしい。
「私今日はお母さんたちとちょっといいお店でご飯食べるんだ〜」
「いいね。私はどうだろ、いつも通りかな」
「えぇ〜?せっかくの入学式だよ?絶対なんかあるって!」
「どうだろ」
合格祝いは十分にしてもらったし、これ以上あの二人に何かをねだるのは良くない気がする。
「なんかあそこ人だかりできてるけど」
「え?」
よく見ると校門前に女の人の集合体ができていた。何かあったのだろうかと思い、二人で近寄ってみる。
「えっ、すっごいイケメン!ねぇ魁見える?」
「…ウン、ソーダネ」
漫画的お約束展開。知り合いがイケメンすぎて人だかりができる。
「誰かのお兄さんかな?もしかして新入生代表のお兄さんとか?」
(ごめん、私の遠い親戚なんだ。なんて言えない)
「さ、さぁ?イケメンだしそうかもよ?」
あの人だかりが少々怖いため、関わらないように校門を通ろうとする。
「あ!魁ちゃん発見!」
「ヴっ…」
「えっ、え!?魁ってあの人たちと知り合いなの!?お兄さん!?」
最悪な展開に胃が痛くなる。初日から目立つのは避けたい。私を見つけて安堵している悠磨の顔を睨む。よくも私の名前を出してくれたな、という怨念の意味を込めて。
「良かった。人に囲まれて大変だったんだよ」
「マジキモかった」
「そんなこと言っちゃダメだよ柊磨」
「…私の名前大声で呼ぶなよ!」
「えっ、だって聞こえないでしょ」
「目立つでしょーが!」
「目立って上等。学年一の女になれ」
「柊磨は一体何を私に期待してるの」
「あのー…」
やっちゃんが会話に入る。どうやら混乱しているらしい。
「あー…えっと、この2人は私の遠い親戚だよ」
「…え、美の神様に愛された家系なの?」
「何言ってんの?」
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