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今から50年前の日本は
人魚と共存して暮らしていた。
そんなある日、
人魚の歌声を聞いた一人の女性が
長い眠りについてしまった。
そのままその女性は帰らぬ人となってしまい、
その女性の夫は酷く悲しみ
人魚達を殺そうとした。
だが、人魚達は人間に裏切られたと誤解し
凶暴化した。
凶暴化した人魚はとても強くとても怖かった。
このままでは人間が滅亡してしまうと
思った政府はルルカン湖に人魚達を封印した。
𓂃◌𓈒𓐍
「封印….」
“ ルルカン湖 ” という湖は全く聞いた事が
なかった。
それよりも封印されている人魚達が
可哀想に思える。
というか人魚の歌声が毒だなんて
童話の中だけの話だと思っていた。
そんなことを悲しげに考えていると
「終わったよ。それ、読んでくれた?」
とカイはドアを開けながら言った。
「うん。でも封印って….」
「大丈夫だよ。それよりも今からそこに行くから着いてきて」
と言い裏口から出るカイ。
それに続く人魚達。
私は話がどんどん進んでいっているのを
戸惑いながらも着いて行くことにした。
「着いたよ」
そう言ってこちらを向くカイ。
ルルカン湖の水面は星空が反射していて、
ルルカン湖自体が星空になっているようだ。
しかも、湖の周りには青い花が沢山咲いていて
現実じゃないようにも思えてくる。
でも私はこの光景を見たのは2度目だと思う。
何故だかこの場所は懐かしさを感じた。
「カイ、私達ってさ小さい頃に会ってる?」
私がそう尋ねるとカイは驚いたような顔で
こちらを向く。
「うん。あるよ」
カイは少し黙った後、私の質問に答えた。
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「ママ~?どこ~??」
私はあの頃、森で迷ってしまい、
不安な中辿り着いた場所は
青い花に囲まれた湖。
その場所はずっと夜のように
夜空は動いていないように見えた。
「ねぇ、どうしたの?」
そんな時出会ったのがカイだった。
「ママ、居ない…」
私が不安げに答えると
「ママに会いたいの?じゃあ僕の願い事3つ叶えてくれる?」
と言った。
「本当にママに会えるの!?」
「ママに会えるならいいよ!!」
幼少期の私は願い事を聞かずに
その提案を了承した。
「1つ目の願い事は一緒に遊んで欲しい」
そう言ってカイは私を湖に突き落とした。
私はびっくりしたが
何故か水の中でも息が出来た。
「びっくりした?」
と言いながら笑うカイを見て私の頬は
少しづつ膨れていく。
湖の中には沢山の人魚や海洋生物達が
楽しげに泳ぎ回って居た。
気づいたらカイの足は人間の足ではなく
魚のヒレのようだったことを覚えている。
「2つ目の願い事は僕に名前をつけて欲しい」
そう言われて私は「カイ」と即答した。
「なんで?」
と由来を聞かれたとき私は
「海みたいだから!!」
と元気よく答えていた気がする。
「3つ目の願い事はまた僕に会って欲しい」
と言われた私は
「もちろん!!」
と答えた。
「じゃあ、約束通り会わせてあげる」
カイがそう言った後、
だんだん眠気が襲ってきて私は目を閉じた。
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私が次に目を開いたのは自分の家のベッドで
寝ていたときだった。
母いわく森の中で幸せそうな顔で寝ている私を
見つけたと言っていた。
そのことから私はカイとの出来事を
勝手に夢だと思っていたのだ。