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ドラゴン店長
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お湯の中の葉っぱ
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Nemuri
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### 第四章:パズルの最後のピース、無音と断裂の残響
特務抹殺部隊100名をわずか30秒で完全制圧(不殺)し、古代演習場に静寂が戻ったその瞬間。
「……あ。あ、え……?」
黄色のフードの耳をぴこぴこと揺らしながら、いつも通り呑気にポテチを口に放り込もうとしていた溯(さく)の動きが、ピタリと止まった。
その脳内に、昼間の戦闘時の異常な魔力同調の残滓が、突如として激しい高周波のノイズとなって押し寄せてきたのだ。
『――溯、危ない! 僕の後ろに隠れて!』
『――あはは! 大張(大丈夫)だよ、僕が絶対に最高の逃げ道を切り裂いてあげるから!』
ドクンッ!! と溯の心臓が激しく脈打つ。
抑え込んでいた、歴史の闇に連れ去られた生き別れの「本当の兄」の記憶。
名前は、どうしても思い出せない Lights。だけど、あの日引き裂かれた時に感じた、空間が優しく溶けるような圧倒的な【領域】の温もりだけは、溯の魂が今でもはっきりと覚え続けていた。
そいつはさ、ちっちゃい頃、ボクが寂しくて泣きそうになると、いつも満面の笑みで、その黄緑色の綺麗な服の袖でボクの涙をそっと拭いてくれるような、世界で一番優しくて可愛い兄貴だったんだ――。
「……う、そ……だろ……」
溯の黄色の超ロング萌え袖が、ガタガタと小刻みに震え始める。その瞳から、大粒の涙がボタボタと地面へ滴り落ちていく。
同じ頃、すぐ数メートル先では、黄緑の猫耳フードをパタパタと揺らしていた秀兎(しゅうと)が、突如として襲ってきた激しい頭痛に、その場にうずくまっていた。
「くっ、あ……あはは……。頭の中が、ノイズでめちゃくちゃだよ……」
完璧な子犬の笑顔が初めて完全に消え、秀兎は黄緑の超ロング萌え袖で頭を強く押さえた。時折脳裏に浮かぶ、泣き虫で、いつも自分の後ろをトコトコと付いてきては「ボクにもポテチ頂戴」って袖を引っ張ってきた、大好きな本当の弟の顔。
そう、お分かりだろう。
この暗殺名門の二人、鷹神溯と石神秀兎もまた、歴史の闇によって記憶を切り裂かれた、実の「生き別れの兄弟」だったのだ。
けれど二人はまだ、今まさに目の前で、涙を流しながらお互いの魔力を激しく共鳴させている相棒こそが、ずっと探していた片割れであることには気づいていない。
### 第五章:調和と絶対電算の境界、静かに交錯するふたり
古代演習場から秘密の地下寄宿室へと戻る道中。前方に遠ざかっていく仲間の賑やかな声を聞きながら、最後尾を並んで歩く二人の少年がいた。
黒の猫耳フードを直しながら、無言でノートPCの電算画面を明滅させている怜(れい)。そして、その隣で白の犬耳をピコピコと静かに揺らし、優しい微笑みを浮かべている泰輝(たいき)だ。
(……おかえり、ハルたん。おかえり、翅。……みんな、本当の絆を取り戻していく)
泰輝は白の超ロング萌え袖を胸元でぎゅっと握りしめ、みんなの背中を見つめながら、その穏やかな瞳の奥に、誰にも言えない深い、深い切なさを隠していた。
『――大丈夫だよ、怜。君の数式がどれだけ冷たくても、僕が全部、世界で一番温かい光で調和(ブースト)してあげるから』
世界の歴史から存在ごと綺麗に消去されてしまった、かつて自分と全く同じ生体波形を放っていた「もう一人の兄弟」のぼんやりとした記憶。
名前も顔も思い出せない。けれど、あの日何者かに引き裂かれた瞬間に感じた、魂の回路が内側からハメ倒されるような、圧倒的な「絶対電算」の残響だけが、今でも泰輝の魂の最深部に消えない傷跡として刻まれていた。
「……はぁ。泰輝、君の放つ魔力の調和係数が、さっきからコンマ数パーセントほど不自然に揺らいいる。僕の電算ハッキングの邪魔だ」
怜がわざと冷淡に眼鏡のブリッジをくい、と上げると、泰輝はハッとして白の犬耳を大きく震わせた。
(……調和魔術の揺らぎじゃない。怜が今、僕の魔力の乱れを指摘した瞬間、僕の脳内にある最古の記憶回路が、コンマ数ミリ秒だけ物理的に共鳴(エラー)を起こした……!)
黒のフードの隙間から覗く怜の網膜。そこから溢れ出る圧倒的な電算光線は、かつて魔王軍の術式をハメ倒した国家規模のペテン兵器の血脈――【御門家】のもの。
けれど、なぜ、ただのサポート家系である【白金】の自分と、これほどまでに波形が寸分の狂いもなく噛み合ってしまうのか。
そう、お分かりだろう。
世界のシステムを書き換える『絶対電算』の御門怜と、全部隊を限界突破させる『調和魔術』の白金泰輝。このクラスの「完璧な司令塔」である二人もまた、歴史の闇によって引き裂かれた、実の「生き別れの兄弟」だったのだ。
けれど二人はまだ、その真実のパズルが今まさに目の前で完全に同期していることには気づいていない。
「……何、怜? 僕の顔にマカロンの粉でもついてた?」
「何でもない。君のその無防備な笑顔を見ていたら、僕の電算画面の画素(ピクセル)が、一瞬だけバグを起こしただけだ」
怜は慌てて黒のフードを深く被り直し、冷淡な口調の裏に必死で胸の動脳(動揺)を隠して誤魔化した。
その二人のもどかしい様子を、さらに一歩後ろから、灰色の萌え袖を捲り上げた蹴介(しゅうすけ)と、茶色の犬耳フードの翅(つばさ)の双子がじっと見つめていた。
「……おい、翅。あいつら、今日も相変わらず息ピッタリの司令塔コンビだけどさ。……如縣と千導、秀兎と溯に続いて、やっぱりどう見ても『本物の兄弟』だよな」
「あぁ、蹴介。でも御門と白金は学園のシステムの根幹だ。今ここで二人の魔力が本気で共鳴したら、それこそ学園の全システムが物理的に消失(大爆発)しかねない」
「そうだな。あいつらの平穏な放課後を守るためにも……俺たちの『神速』と『脚力』で、全力でトボケ通そうぜ、翅!」
「うん。頼んだよ、兄さん」
翅が小さく微笑み、二人は萌え袖越しにこっそりと固いグータッチを交わした。
これで14人全員の因縁のパズルが完全に一枚の絵へと繋がった。
「よーしお前ら! 旅の打ち上げだ! 残ったポテチは全員で山分けだぞォ!!」
要(かなめ)の豪快な号令とともに、地下寄宿室には、遠慮のない対等なタメ口と、どこまでも青く、愛おしい十四人の笑顔が弾けた。
不殺の鉄則を抱きしめながら、世界を優しく、激しくひっくり返す彼らの【最強不殺の学園生活・第二部】は、秘密の地下寄宿室の扉の向こうで、どこまでも賑やかに続いていくのだった。
(第二部・4大寮対抗戦編――完)
コメント
2件
遼太と渉、やっと再会した直後の特務部隊100名を30秒で片付けちゃうの、痺れたよ……! 渉の「感動の再会を邪魔しにくるなんて」ってセリフと涙がもう刺さって。遼太の天体魔術と倫太郎・瑠偉の絶対零度の融合とか、キャラごとの萌え袖の描写もめちゃくちゃ良かった🥀 搆成もテンポも完璧で、絆が力に変わったラストが本当に綺麗だった。「不殺」で貫く14人の強さ、かっこよかったです……!